2012年12月21日金曜日

創作四字熟語

この一年2012に賑(にぎ)わした出来事などの世情を振り返って表す創作「四字述語」を、年末恒例で住友生命が公募した。その作品を恒例で天声人語が取り上げる。私はそれを恒例でマイファイルする。年末の楽しい行事だ。

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朝日・天声人語

投票用紙を前にしても迷った「紙前党多」(しぜんとうた)の衆院選。結果が「自公治得」(じこうじとく) 「維新前進」(いしんぜんしん)だけに「翁政復古」(おうせいふっこ)が気にかかる。年末恒例、創作四字熟語の締め切りが11月と知り、続きを小欄で補ってみた。以下、住友生命が募った本物で一年を振り返る。

辺境の孤島をめぐり隣国と続く「島々発止」(とうとうはっし)。尖閣には中国の公船がわが物顔で出没し、防人たちは「船船境航」(せんせんきょうこう)の中で体を張る。内憂は消費増税に頼る財政。復興予算の流用がバレて「税途多難」(ぜいとたなん)だ。

レバ刺し好きを励ます言葉もない「肝臓断念」(レバーギブアップ)。ウナギは稚魚がとれずに高騰し、かば焼きを飽食する夢も「無理鰻代」(むりまんだい)に。上がる味あれば下がる足あり、「安価航路」(あんかこうろ)の格安航空が相次ぎ離陸した。

メダルに沸いたロンドン五輪。「(北島)康介さんを手ぶらで帰せない」とチームが結束した「共存競泳」(きょうぞんきょうえい)、アーチェリー女子団体はほんわかと「三矢一体」(さんしいったい)の銅。レスリングの吉田沙保子選手は「史嬢最強」(しじょうさいきょう)を証明し、国民栄誉賞に輝く。

ノーベル賞の山中教授を世界が称えて「伸弥万称」(しんやばんしょう)。上方落語では「三枝襲名」(さんししゅうめい)で六代桂文枝が誕生し、芸人スギちゃんはワイルドな「野生自慢」(やせいじまん)で流行語大賞だぜ。

観測グッズが売り切れた「衆金環視」(しゅうきんかんし)の金環日食、「威風堂塔」(いふうどうとう)の東京スカイツリーは空二題。読書ならぬ「独唱三昧」(どくしょうざんまい)の一人カラオケが若者に人気を呼び、NHKの連続テレビ小説{梅ちゃん先生」も「観梅御礼」(かんばいおんれい)の好評だった。続く桜の季節に、一陽来復の望みを託したい。