2013年7月27日土曜日

はらっぱのおはなし

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はらっぱのおはなし

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20130725 19:00~

私と孫2人で、東京・練馬区関町の東京演劇アンサンブル、ブレヒトの芝居小屋へ、「はらっぱのおはなし」を観に出かけた。孫とは長女の娘と次女の息子のことだ。長女が作ってくれたお握り弁当を持って、保土ヶ谷区権太坂の自宅を16:00にスタートした。

いつものように劇団から招待を受けたが、私だけで行っても劇団の売上にはならない。よって、いつも通り有料の人間を誘って行くことにしたが、今回は孫2人を指名した。孫2人のそれぞれの母親は、この企画に喜んでくれた。演劇小屋に、一番最初に着いた。まずは腹ごしらえ。ベストの席を選ぶのは難しい。熊ゴロウを観た時の経験から、リーダーの孫・晴は、真正面の一番前の席を選んだ。年少の孫は年長の孫の指示に従った。ジジイは背丈があるので、斜め後ろの席を選んだ。二人とも、行儀の善(い)い子ども、俺の自慢の孫たちだ。

このお芝居は、虫たちの原っぱでの一日の生活、虫たちのめくるめく命の大いなる讃歌だ。気を緩めるいとまもなく、俺たち3人はお芝居に釘付けだった。

芝居の始まりの演出は、みんなはらっぱにおいでよ、はらっぱに寝っ転がっていると、虫たちの話し声が聞こえてくるよ、と、こんな感じでぞろぞろと人が集まってくる。虫たちの声は、ただ鳴いているのではなく、ふざけて騒いでいたり、喧嘩したり、泣いたり、怒ったり、求愛したり、真剣にお話しているのだ。

そして、話は始まった。

性格の異なるわるわるバッタの三兄弟は、ズンチャカズンチャカ騒がしく動きまわる。はらっぱを駆け回る。孤独を楽しむオニグモじいさんは、一人でフムフム鼻歌を歌っている。長老としての威厳をもって、虫たちを見守っている。カナブンオヤブンは、ロックンローラーでギターを振り回す、激しい性格の親分だが優しいところもあって、困っている虫たちを見回って世話をしている。バッタの三兄弟も協力する。

生まれたばかりの雨ふりのチョウに一目惚れしてしまった青年くわはちは、或る日、傷ついて倒れる。そんなくわはちを他の虫たちが一所懸命に励ます。そのかいあって、元気を取り戻すと、チョウとダンスに興じる。このチョウは不幸せということを全く知らない、果てしなく無垢なのだ。

チョウは、目に映るものすべてが素敵で面白く、いっときもじっとしていない。劇中、チョウは、いつも楽しく一輪車で走り回り、はらっぱを踊りまくった。このチョウを演じる役者さんの一輪車の操作の余りの巧さに、私も子どももみんな驚いた。

虫たちは、それぞれに色んな想いを抱いて一生懸命生きている。その虫たちのいのちの物語が、絶え間なく、それぞれに何らかの楽器でリズムをとって、時にはドンチャカドンチャカ時には静かに、進行する。

原作者の松居スーザンさんのことを初めて知った。当然、作品にお目にかかるのも初めてだ。

脚本の篠原久美子さんは、このお芝居を構成し直しながらも、なにかの価値観に向かって感情をもっていくのではなく、「自然ないのち」の交流が、嘘なく「存在」し合えたらと思いながら、楽しく書き進めることができた。また、嘘も、ひねくれも、傲慢も、怠慢も、利害も、ずるさも知っている大人だからこそ、「いのちのこと」だけは、嘘のないまっすぐな瞳で語らなきゃいけないんじゃないかと思い始めています、といただいたパンフレットにあった。

音楽を担当した菊池大成さんが作ったのは、オープニング曲とエンデイング曲で、その他の曲は役者さんに稽古場で鼻歌を歌ってもらい、それを聴音、菊池さんが後に楽譜を作成した。役者自身が舞台上で楽器を演奏。その楽器類とは、アコーデオンやギターもあったが、ほとんどジャンク品、手拍子あり、膝たたきあり、玩具類だ。虫たちの、虫たちによる、虫たちのための音楽劇。この楽器類が、一般的な楽器類よりも、深く豊かでこのお芝居の世界観や虫たちの想いを伝えるのにはるかに適している、と菊池さんは語っている。このように奏(かな)でられる音は、どれもシンプルでありながら虫の世界に、生き生きと溶け込む。

明樹由佳さんが担当したダンスの振り付けも必見ですよ、と劇団の代表・入江洋佑さんに案内された。

帰途、車の中では三人三様に、劇中歌を歌った。記憶した部分を何度も何度も繰り返して歌っては、笑った。しかし、ここでも、私は孫たちに、歌の記憶力で負けてしまった。私が憶えた部分は、孫たちの半分程度だった。

第三京浜に入るころには、孫たちは後部座席で眠り込んでしまった。

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志賀澤子共同代表。8月25日、ローザをやるから観に来てくださいと頼まれた。ローザは80歳なの、だから私も80歳まではローザを演じていいよといわれているの、と仰っていた。彼女の歳は聞かなかった。

 

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アマゾンで、この原作本を購入した。

私らは回し読みをして、今日を迎えた。実はこの本を買う前に、下の追記にあるような失敗をしたのだが、二人にはいい読書の機会を提供したことになって、さぞかし母親たちからは感謝してくれていることだろう。夏休みの宿題に使われそうだ。

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雨ふりのチョウ、オニグモじいさん、わるわるバッタのブッタ。ブッタは銀河鉄道のジョバンニだ。

 

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入江洋佑共同代表。 78歳と仰った。今回、お歳を聞こうと思っていた。いつまでも、元気でいてください。

 

追記

東京演劇アンサンブルから、「はらっぱのおはなし」のお芝居の案内をもらって、これは、夏休み中の2人の孫には丁度イイワイと思った。

いただいたパンフレットの内容を吟味するまでもなく、アマゾンで下の本(作・椋鳩十)を予約した。届いた本を、孫たちは喜んで回し読みをした。1年生の銀杏(いちょう)は熟読、精読したと銀杏の母から聞いた。3年生の晴には、楽ちんだったようだ。

私は、今回のお芝居はこの本が原作だと思い込んでしまって、椋ワールドを勝手に楽しみにしていた。今までこの児童文学者・椋鳩十(むくはとじゅう)さんの作品を読んだこともなく、今回はいい機会だと喜んでいた。

間違いの原因は私の早トチリ。松井スーザンさんと椋鳩十さんは、「はらっぱのおはなし」という同じ題名の本を著しておられたのだ。

恥ずかしい!! ジジイ得意のフライングだ。

 はらっぱのおはなし (とっておきのどうわ)

 

以下は、東京演劇アンサンブルのホームページから引用しました。

上演にあたって

東京演劇アンサンブルこどもの劇場公演『音楽劇・はらっぱのおはなし』は、劇団待望の新作公演となります。
ここ数年は、再演ものが多かった子どものための公演ですが、新たな出会いによって、いよいよ実現することとなりました。

昨年の児演協合による震災後の児童・青少年演劇を考えるプロジェクト『空の村号』のスタッフを迎えての新作となります。
原作は松居スーザン(絵・スズキコージ)。アメリカ人児童文学者で、日本語で多数の絵本・児童文学を書いています。
あるはらっぱのムシたちの一日を描くことにより、日常で営まれるさまざまな生きる喜びや大切なこと、そして悲しみも描かれています。
“はらっぱ”との出会いが少なくなってきた現代で、小さな子どもたちから、
ずっと昔に子どもだった人たちまで、もう一度“はらっぱ”と出会いなおしてもらいたいのです。

初めて演出をお願いした関根さんは、ワークショップのような劇団内オーディションを行い、出演を希望する劇団員の中から7人のキャストを選びました。
この作品に登場してくる登場人物? ムシたちのキャラクターに見合うような、おもしろい、キャストになっています。

脚本は篠原久美子さん。前述の『空の村号』では斎田喬戯曲賞を受賞され、その他にも数々の賞を受賞されています。
自ら震災後にボランティアを行い、“はらっぱ”に寝ころべない現実を目の当たりにし、この作品と向き合うこととなりました。
いま、劇団劇作家の主宰でもあり、注目の劇作家の一人です。
マイノリティーの存在にやさしい目を向ける姿勢が、とても好ましく、
みんなが同じでなければならないことへの不安や葛藤、常識的でかたずけられない大切なものを見落とすことのないような、
あたたかい脚本になっています。

タイトルに“音楽劇”とあるように、たくさんのソングで芝居を彩っています。作曲は、やはり、『空の村号』で出会った菊池大成さん。
自身の本業はピアニストだとおっしゃいますが、劇団風の子などで多くの作品を作曲されています。
今回の作品は、短い曲やアレンジ曲も含めると、20曲ものソングがあります。
足しげく稽古場に通い、みんなで音楽作りをしています。
俳優の内面から生まれる音を大事にしたいということで、俳優たちと一緒になって作曲に取り組み、演奏もすべて生演奏ということに挑戦しています。

その他、ニブロールの高橋啓祐さんは、映像作家として参加。
できるだけ照明機材を減らし、プロジェクターの光線を使った新たな試みをしています。
一輪車を使った振付もおもしろく、元劇団四季・キャラメルボックスにいた明樹由佳さんにお願いしています。

子どもたちにはとっても楽しく、贅沢な時間を過ごしてほしい。また、凛とした思いで、子どもたちに向き合う大人の姿を舞台で見てほしいと思います。

東京演劇アンサンブルの新たな挑戦です。どうかお見逃しなく!!