20130730 朝日新聞・スポーツ面
韓国戦でボールを追う柿谷=関田航撮影
20130728、韓国で行われた東アジア杯で男子の日本代表は初優勝をした。
今回の日本代表には欧州組は召集せず、国内組の新戦力で戦った。来年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会に向けて、ザック・ジャパンの底上げが課題になっていたが、やっと、懸案だった新戦力のうち、攻撃陣には台頭がみられた。
先ずは、2試合で3得点したFW柿谷(セ大阪)が際立ってアピールした。2得点した大迫(鹿島)、1得点は斉藤(横浜マ)、工藤(柏)。彼らが、今後、常連FW陣をどれだけ脅かせるか。本田圭祐の星稜高校の1年先輩の大型FW豊田も高い評価を受けた。
しかし、相手攻撃に耐える粘り強さを見せたと思いきや、あっ気なくゴールを奪われる守備のもろさはこの代表チームも従来の日本代表と変わりがなかった。この弱点を克服しなければ、明日はない。私は学生時代、SB、CBのポジションをやっていたが、点を取らせないことに、私は勝負を懸けていた。だから必死だった。
守ってこそ、攻撃が成り立つのだ、と今でも確信している。
日本が点を取られたときに、テレビの前でガッカリするジジイの私に、小学三年のサッカー狂の孫・晴は、ジジイ、中澤だよ、中澤佑ニがいればあんなことにはならない、とザックの采配を批判する。
私は田中マルクス闘莉王みたいに感情を剥きだして、仲間を叱咤激励する選手か、磐田でプレーしてその後ブラジルの代表監督になったドゥンガのような強烈なリーダーが欲しいなあ。チームの心棒になるような個性的な選手がいないと、チームがまとまらないよ、とザックを批判した。
晴は、欧州のサッカー情報にも通じ、サッカーを見極める視点は私以上だ。彼は、プレーヤーとして理論と実践の間で苦悩している。將來の日本代表を背負うオールラウンドな若きエースだ。中澤のプレーを強く信じているようだ。
だが、守備陣の新しい駒の出現はなく、相変わらず薄い。今回の東アジア杯においても、森重(FC東京)の初々しさに目を引いたが、代表常連の駒野(磐田)と栗原(横浜マ)では、まだまだ人材不足、力不足だ。
そんなことを考えていたら、20130730の朝日新聞・スポーツ面に、「知将からのメッセージ」(J1大宮 ベルデニックス監督)の談話の記事があった。大いに賛同する内容なので、一部をここに転載させてもらう。
いまのJリーグは攻撃、守備とも選手同士が共通理解をもったプレーが少ないと思う。ボールを持っているときも、相手がボールを持っているときも、選手間の共通理解がないと、判断のスピードもプレーのスピードも上げられない。
さらに感じるのは、競り合いや球際の強さを、もっと身につけていかなければならない点だ。特にセンターバックとセンターフォワードは、Jリーグや各クラブが優れた選手を見つけ、育てていくことが必要だ。
Jリーグの日本の選手には、質の高い中盤のサイドハーフやボランチはたくさんいる。しかし、センターバックやセンターフォワードは、その人数が少ない。
自分の経験から言えば、世界のトップリーグや欧州のリーグと比べて、日本のセンターバックはけがをする割合が高いのではないかと思う。相手と競り合いにいってけがをすることが少し多いような印象がある。
センターバックは自分からボールを奪いにいくポジション。けがをする確率はそんなに高くないはずだ。そう考えれば、Jリーグでは本当の意味で強さを持った選手が十分にはそろっていない。
印象に残る選手もいる。横浜マの中沢佑二選手だ。足元、空中戦どちらも強い。クレバーで読みも鋭い。ボールを奪うだけではなく、後ろから組み立てる力があるところもすばらしい。Jリーグでは一番のセンターバックだと思う。