2017年9月4日月曜日

ロシアW杯、日本サッカー出場決定①

今、スポーツの各種において、世界大会でも優秀な成績が乱発と表現すれば叱られるのかな。この頑張りには、頭が下がる。
男子も女子もみんな同じ。
水泳、卓球、バドミントン、テニス、柔道、レスリング、陸上、新体操。
どの種目にも深い関心をもって、新聞やテレビの報道を楽しみにしている。この類の報道については、並々ならぬ関心だけではなく、情熱に狂いを帯びた状態。

そんな折、情熱が狂化しているどころか、その情熱から火が噴きだしていたのは、サッカーのロシアW杯への出場可否がハッキリしないことだった。それが、決定的になるのが、このオーストラリア戦だ。私にとって、このサッカー問題だけは別項目だ。

そして、2017年8月31日、日本はオーストラリアに2-0で快勝して、6大会連続のロシアW杯出場を決定した。
こんなに嬉しいことはない。8月30日から私の魂は高ぶっていた。妻に、明日のテレビ中継は頗(すこぶ)る緊張して応援するので、日本代表のユニフォームを出しておいてくれ、それを着なくては力が入らない、わかるやろ!と言っておいた。
妻は、夫がまた血が上ってきたようだ、仕方がないワイ、と好く理解していてくれる。

日本チームにとってはホームグラウンド。
私は高校、大学とサッカーをやってきたが、全てが守り本業だったので、相手の攻撃をいかに早く抑え込むことに先ず集中した。そのためか、日本の防御の凄(すさ)まじさが、気に入った。徹底的に殺すことに徹した。
先陣、中盤から、相手よりも早くボールの動きを察知し、遅れても相手の動きを封じる。いくら自陣に、攻められっ放しの厳しいボールでも、相手の思うようには絶対させない。
このようなことが、今までよりも鋭かった。
終盤では、自らの体を張って、相手の攻撃を壊す。

そして、前半41分、FW浅野拓磨がDF長友佑都の左からのパスを決めた。
後半37分、MF井手口陽介がミドルシュートを決めた。
2-0で試合は終了した。


この記念すべき試合の内容等について、9月1日の朝日新聞の記事を丸丸転載させてもらう。
でも、新聞社が社運を賭けて手に入れた報道写真をこのブログにも挿入したいと思っているが、仕事がちょっとばかり忙しくて、間に合っていない。来週の月曜日にはかんせいさせますので、今回は文字だけ。

★先ずは1面から。

日本、ロシアW杯決定
豪州に快勝6大会連続
サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選で、B組の日本(世界ランキング44位9は、31日、埼玉スタジアムで豪州(同45位)を2-0で破り、6大会連続6回目のW杯出場を決めた。通算成績を6勝1敗2分けの勝ち点20とし、1試合を残して、W杯出場権を得られる同組2位以内が確定した。日本は豪州に過去の予選で2敗5分けで、今回が初勝利となった。

日本は、前半41分にFW浅野拓磨(シュツットガルト)が、DF長友佑都(インテル・ミラノ)の左からのパスを決めて、先取点を奪った。後半37分にはMF井手口陽介(ガ大阪)がミドルシュートを決めた。W杯ロシア大会の抽選会は12月1日に行われ、本大会は来年6月14日に開幕する。

連係より「決闘」求めた
日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(65)が好んで使う言葉はフランス語の「デュエル」だ。

意味は「決闘」。選手には球際の強さと、最後まで全力でプレーし続けられる気迫を求めた。「侍になってもらいたい。どんな相手でも対等なんだ、とぶつかっていけば必ず結果がでる」

過去の多くの監督は日本人の良さである連係を高め、世界との差を埋めようとした。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の指揮官は、屈強な海外勢と真っ向から渡り合おうとした。

選手の体脂肪率にまでこだわり走り込みなどを課した。「これで勝てるのか」とこぼす選手もいたが、調子のいい選手を見極め、使うことで反発を抑えた。ときに本田圭佑らスター選手を外し、久保裕也らを抜擢。この日も最終予選2回目の先発となった22歳の浅野拓磨、21歳の井手口陽介が得点するなど、若手に自信を与えてチームを底上げした。

表情はいつも厳しい。強い口調も相まって、親しみを抱きにくい印象の監督だ。W杯アジア最終予選で戦術を批判され、解任を求める声も上がった。「うまくいかなかったらすべて監督のせい」攻撃されるほど、批判が多いほど、それに応えるために強くなる」

逆境を生き抜いてきた。約20万人が犠牲になった祖国の内戦に巻き込まれ、命を狙われ、自宅を焼かれた。えぐられるような心の痛みを知るからこそ、どん底から立ち直る人々の強さを知っている。来日後は被爆地の広島、被災地の熊本を訪れ、手を合わせ、人々を励ましてきた。

就任からおよそ2年半。日本サッカーへ注ぐ情熱には、こんな思いが込められている。「国民が誇りを持てる日本代表にしたい。
(清水寿之)


★31面
列島 全開アシスト
「一緒にロシアへ」スタンド総立ち

6大会連続の本大会出場がかかった強敵との大一番を、日本は見事に勝ち抜いた。31日、埼玉スタジアムであったサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選の豪州戦。ピッチを駈ける青いユニホームに、日本の各地から声援が送られた。

「夢」の文字が書かれた旗がスタンドにはためく。約6万人のサポーターで埋め尽くされた埼玉スタジアムは、熱気に包まれた。

家族らと鹿児島県から応援にかけつけた自営業の小牧大介さん(39)は、日本がW杯に初出場した1998年のときの代表ユニホームを着て応援。「ずっと勝てなかった相手。倒して出場を決め、アジアの代表として胸を張って世界で躍動してほしい」

前半終了前、浅野拓磨選手がボレーで流し込んで先制。スタンドは総立ちになって喜びを爆発させた。

大学1年の大山千晶さん(19)は跳びはねて喜んだ。父親の影響で子どもの頃からのサッカーファン。「必ず決めてくれると信じていた。サッカーほど胸が熱くなるスポーツはない。一緒にロシアに行きたい」

浅野選手を三重県立四日市中央工業高時代に指導した樋口士郎さん(57)は、自宅のテレビの前で叫んだ。「思わず自宅を走り回った」と興奮気味に語った。

浅野選手は2か月ほど前にも同県菰野町で講演するなど、今も故郷を大切にする。樋口さんが8月、「代表戦もがんばれよ」とLINEでメッセージを送ると「がんばります」とすぐに返事が来たという。「あの状況できっちりゴールを決めた。ここ一番の勝負強さを持っている」
後半。チーム最年少の21歳、井手口陽介選手が豪快なシュートを決める。

約600人が集まった大阪市浪速区のライブハウス「ZePPなんば大阪」は、盛り上がりが最高潮に達した。井手口選手がガンバ大阪所属。大阪大の黒田輝さん(21)は「井手口選手はガンバの誇り。さらに成長した姿をW杯で見たい」。

試合終了の笛が鳴った。埼玉スタジオのスタンドで、埼玉県川口市の理学療法士、寺島優さん(30)は両手を突き上げた。「本当に苦しい予選だった。強敵を倒してつかんだみんなの希望。ロシアで決勝トーナメントまで勝ち進む雄姿を見たい」

「誇」と書かれた旗が振られる。歓声は響き続け、選手たちへの拍手は鳴りやまなかった。




喜びに沸く渋谷 DJポリス出場
豪州に勝利し、W杯出場が決まると、東京・渋谷のスクランブル交差点付近は、大勢の人たちであふれた。

若者らが輪になって「ニッポン」コールをしたり、ハイタッチをしたり。ユニホーム姿のサポーターも続々と増え、信号が青になるたびに、交差点の中でもハイタッやコールが起こった。何十人もの警察官が警備にあたり、車上からマイクで呼びかける「DJポリス」も出動。「喜びを分かち合いたい気持ちはわかりますが、良識ある行動をしてください]「肩車はやめてください」などと丁寧に呼びかけていた。

近くのバーで試合を見ていた会社員の中村晋也さん(25)は、勝利を見届けると交差点に駆けつけ「日本代表は最高です。明日仕事だけど、ずっと今夜は飲み続けます」と語った。




控えでも 本田がいるだけで

日本代表で長くエースだったMF本田圭佑選手(31)は、今回のW杯アジア最終予選で控えに回ることが増え、豪州戦ではついに出番が訪れなかった。それでもチームを支え、世界の舞台に導いた。

この日の豪州戦もベンチから試合開始を見守った。前半41分に日本が先取点を挙げると、DF昌子選手を呼んでピッチサイドから声をかけた。勝ちへ向けて万全を期す姿をみせた31歳も、後半に2点目が入ると、得点した21歳の井手口選手を押し倒す輪に加わって喜びを爆発させた。

最終予選の先発は、9試合のうち5試合。昨年9月を最後に得点がなく、ときに不要論も持ち上がった。だが、日本代表のハリルホジッチ監督は「存在自体が重要」。精神的な柱として代表に呼び続けていた。

今年6月13日のアジア最終予選のイラク戦。勝てばW杯出場に大きく近づくアウェーの試合で、日本は先制しながら格下にまさかの引き分けに終わった。チームには重苦しさが漂った。

その日は、代表戦で9試合ぶりに先発フル出場した本田圭祐選手の31歳の誕生日。夜、宿舎での祝いの席で、仲間を前に切り出した。

「先輩に引っ張られた1度目、中心で出た2度目。どちらのW杯も予選で余裕だった試合はない」「今日は若い選手も悪くなく、厳しい環境で勝ち点1。俺も若手から学びたい。次、勝てばいいだけ」

若手の一人は振り返る。「あの本田さんがあの状況で発した言葉が、チームを前向きにさせてくれた」

22歳で代表デビューを果たした本田選手も、豪州戦ではフィールド選手で2番目の年長世代だ。先発は監督が決めることと分かってはいても、周囲にこうもらしたことがあった。「俺が外れて日本が勝つならそれでいい。でも、負けたら許せない」

熱い思いは秘めつつ、和は乱さなかった。練習では全力でチャンスをつかもうとする姿勢をみせ、ベンチや宿舎で、若手へのアドバイスを欠かさなかった。

自身3度目のW杯出場をめざすロシア大会は、立場は約束されていない。仲間と喜びを分かち合ったこの日からまた、本田選手の新たな戦いが始まる。
(藤木健)



難病と闘う君へ 原口の約束

重い心臓病を患い、東京都内の病院に入院中の菊地秋也(しゅうや)君(11)は、この日の試合を心待ちにしてきた。大ファンの原口元気選手が6月、病室を訪れ、「オーストラリア戦で1点決める」と誓ってくれたからだ。

「拘束型心筋症」という突然死のリスクも高い難病だ。小学1年の時に異常が見つかり、投薬などの治療をしてきたが、昨夏ごろから病状が悪化。米国での移植手術の関係費用約1億2700万円が必要で、知人らによる「秋也くんを救う会」が寄付を募ってきた。

会によると、その活動を知った原口選手が6月中旬、会いに来てくれた。原口選手の、諦めずにボールを取りに行くところが好き」という菊地君は「オーストラリア戦、がんばってください」と伝えた。得点を誓った原口選手は「早くよくなってサッカー一緒にしよう」と話したという。

いま、病室には原口選手のメッセージ入り色紙やサイン入りのスパイク、ボールが飾られている。会った際に原口選手が持ってきてくれたものだ。原口選手はこの日、後半から出場し、献身的にボールを追った。

寄付金は目標額に達した。菊地君は、米国へ渡る準備を始めている。
(高島曜介)



★第16面と17面、スポーツ

新世代世界へ導いた
W杯6大会連続出場

アジア最終予選
先発に起用された浅野、井手口の2ゴールが、日本をロシアに導いた。2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会にあと一歩に迫っていた日本は、W杯予選で初めて豪州を破り、1試合を残して6大会連続6回目の出場を決めた。

22歳浅野 苦悩払う先制弾

いままでの苦しみを、不安を、すべて振り払うような快勝だった。

前半41分、右FWの浅野が相手最終ラインの背後めがけて斜めに走った。そこへ、長友からの浮き球パスがぴたり。相手DFは誰もついてこない。左足で触れてGKの脇へ転がした。

ロシア行きを手繰り寄せた先取点。跳びはねて喜びを爆発させた22歳は「活躍できていなかった分、ゴールで貢献したかあった」。昨年9月のタイ戦で得点するも、同11月以降の最終予選は出番なし。「代表に選ばれるのか。メンバー発表前はいつも危機感ばかり」というのが本心だ。

ここまでの9戦でハリルホジッチ監督が読んだ園主は40人超。生き残りをかけ、おのおのが自らの武器に向き合い、磨く。浅野にしても、「守備などで課題が多くてチームに負担もかけるけど、自分の特長の裏への抜けだし。その一点でゴールに絡む」と臨んだのが吉と出た。
抜擢に応え、持ち味を存分に出したもう一人がMF井手口。開始直後から相手へ猛然と寄せ、何度もボールを刈り取った。終盤には豪快なミドリシュートを決め、勝利を決定づけた。

本拠でアラブ首長国連邦(UAE)に逆転負けを喫して始まった日本の今回の最終予選。本田、香川ら実績ある選手を「聖域」とせず、新たな起用があるたびに緊張感が漂った。21歳で最年少井手口が言う。「下から出てこない環境は、やっぱり緩(ゆる)みが出る」。

苦しみながら成長を重ね、ロシアへ。浅野は「日本としてスタート地点。そこに立てる準備を続けたい」。競争を重ねた先に、さらなる伸びしろが期待できる。
(藤木健)


海外勢16人と国内組 難しかった融合
日本サッカー界がW杯出場に本気で乗り出したのは、1994年米国大会だった。残り十数秒で夢を絶たれた「ドーハーの悲劇」と呼ばれる93年の最終予選から、楽なものなどひとつもなかった。
最終予選が厳しいことはいつも変わりないが、難しさの中身は明らかに変わった。

ちょうど1年前、今回のアジア最終予選がスタートするときに聞いた、ふたりの言葉を思い出す。

岡崎は「海外組が増えて、チームとして合わせる時間は少ない。今までで一番厳しい最終予選になる」と予言した。「最終予選が難しくなっているとすれば、他国に比べて成長率が落ちていることになる」と語ったのは本田だ。

初出場した98年W杯にひとりもいなかった海外組は、02年には4人、06年6人、10年4人、前回の14年に12人に増えた。6回連続出場を決めた豪州戦では登録23人のうち、16人が海外クラブの所属だ。

時差と移動時間を抱え、また所属先で出番の確保に苦しんでいる海外組と、出場機会はあっても序列の低い国内組をどう組み合わせテピッチに解き放つか。個人の能力や戦術よりも、試合勘を含めた個々のコンディションがこれほど代表監督を悩ませ、注目された予選はこれまでなかった。

本田が案じた危機感は現実のものとなった。同じB組では最下位のタイを含め。他国の追い上げは急だ。A組では韓国が苦しんでいる。指定席が用意サレテイル」チームなどない。本田の問う成長率は上がっているが、世代交代が遅れている状況を考えれば、Jリーグの質を上げることも、選手育成の見直しも急務だろう。

最終予選の足取りを冷静に振り返れば、取り組むべきことはいくらでもある。
(潮智史)



21歳井手口 追加点

後半37分、MF井手口は左サイドからドリブルで中心に切り込み、右足を降り抜いた。「入らないと思った。枠内にいって、シュートで終わればいい」と打ったミドルシュート。ゴール右隅に決まり、試合を決める追加点となった。

この試合が代表通算3試合目。W杯出場がかかる大一番に、チーム最年少の21歳ながら起用された。ボールを奪い取る守備が持ち味だが、これまで本田らが務めていたFKやCKのキッカーも任された。誰よりも積極的に動き、日本の中盤を引き締め、得点も奪う出色の出来。「客観的にいえば『持っている』と思いますけど、実感はない」。自身の活躍に驚いた。

乾 「ほっとしている。守備でDFを助けられた。攻撃では自分の良さを出せなかった。満足していない」


長谷部復帰 際立つ安定感

右ひざの手術で、最終予選の出場は4試合ぶり。だが、長谷部はその影響を感じさせなかった。「主将を任されて、それほど時間が経っていなかった頃は手探りだった。今回は自分により責任と重圧をかけていたので喜びも大きい」。

主将を担うのは、16強入りした2010年南アフリカ大会の直前から。その南アでは、控えのベテランが盛り上がり役に徹し、日本は16強に進出。そういう周りに安心感を与えられる存在になりたいという。

自身不在の間、大一番の舞台を整えてくれた仲間の存在は頼もしく映った。そして、この日は若い浅野と井手口が殊勲者に。「堂々としていて頼もしい。彼らが中心になってくれれば、日本のサッカーはもっと良くなっていく」。

次の目標は自身3度目のW杯出場。経験豊かな33歳は、大舞台でのチーム舵取りに思いをはせた。
(冨山正浩)


ハリル監督 質疑応ぜず
「家族の事情」
日本をW杯に導いたハリルホジッチ監督。試合の会見で「プライベートの大きな問題を抱えていた。本当は試合の前に(国に)帰ろうと思ったほど]と明かした。その上で「聞きたいことがいろいろあると思いますが、今日は選手に聞いてあげてください。すいません」と報道陣の質疑には応じず、足早に会見場を後にした。協会関係者によると「家族の事情」。5日のサウジアラビア戦は指揮を執るという。




無失点勝利 吉田の存在感
最終予選8試合 フル出場
日本、豪州破りロシアW杯へ
サッカー日本代表が、2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会への出場を決めた。8月31日のアジア最終予選で、これまでのW杯予選で2敗5分けの豪州を相手に2-0.初勝利を無失点で飾った立役者は、最終予選8試合で唯一、フル出場のDF吉田だ。

31日の豪州戦。定位置のセンターバックに入った吉田はDFの最終ラインで的確にカバーリング。相手をゴールから遠ざけた。イングランド・プレミアリーグでプレーする29歳は「総じていうと、うまくできた」と振り返った。

W杯予選は前回のブラジル大会で初めて臨み、安定感ある内容で本大会への出場を決めた。しかし今回の最終予選は初戦のアラブ首長国連邦(UAE)戦で敗れるなど厳しい船出。6月のイラク戦では、GK川島との連係が取れず、自陣ゴール前を突破してきたイラク選手にこぼれ球を押し込まれて同点に持ち込まれた。苦しんで突破した予選だけに、「うれしさは前回よりすごく大きい」とほっとしたように話した。

今や代表試合出場数は76。今回の予選では、負傷していた長谷部に代わって主将を務めるなど、強い存在感を示した。そうしたなか、チームの変化も感じている。今回の最終予選では31日の豪州戦ゴールを決めた浅野、井手口ら若手が台頭。吉田「フェアな競争があるのは成長を促してくれる。新しい選手がポジションを乗っ取るような戦いが常にあれば、チームにはプラスになる。競争は歓迎」と話す。

ロシア大会に向けて、吉田は「それぞれの選手が各クラブで出場時間を確保して、良い状態で臨まなければならない。これからの強化が重要になってくる」。浮かれることなく、1年後の大舞台へ意識を高めている。
(堤之剛)




★18面 スポーツ
サムライブルー エースの系譜
原口 最終予戦チーム最多4得点
サッカーは1点の重みがほかの競技以上に大きい。ワールドカップ(W杯9をかけたアジア最終予選となれば試合数も少なく、なおさらだ。W杯ロシア大会を目指す今回のアジア最終予選で日本は9試合を終えて、FW原口元気(26)=ヘルタ=がチーム最多の4得点をマークしてチームを引っ張っている。

若手の成長、底上げという点で停滞感があった日本代表の中で、原口は最終予選に入って一気に花開いた。昨年9月の第2戦、敵地のタイ戦で先制ゴールを決めると、続くイラク、豪州戦でも得点し、5戦目のサアウジアラビア戦でも貴重な追加点を奪った。アジア最終予選では日本初となる「4試合連続得点」の記録を樹立。切れ味鋭いドリブルによる攻撃だけでなく、全力で走って自陣に戻る献身的な守備も、ハリルホジッチ監督に評価された。31日の豪州戦では後半31分から出場し、左サイドを奔走。守備に全力で戻り、チャンスと見れば、ゴール前へ走り込んだ。

過去の日本代表の戦いを見てみると、W杯アジア最終予選でゴールを重ねた選手が、そのまま本大会でエース的な役割を担うケースが珍しくない。

2014年ブラジル大会の最終予選はあ、FW本田圭佑(パチューカ)が5得点とチームをリードした。本大会では、初戦のコートジボウール戦で先制点を挙げ、2戦目のギリシャ戦では、最も活躍した「マン・オブ・ザ・マッチ」に国際サッカー連盟(FIFA)から選ばれた。

10年南アフリカ大会の最終予選では、初めて予選を戦った闘莉王(現J2京都9が、DFにもかかわらず日本最多タイの2得点。本大会でも守備の柱として、2大会ぶりの16強入りに貢献した。

一方で、最終予選での活躍が、そのまま本大会に結びつかないこともある。大黒将志(現J2京都)が、06年ドイツ大会の最終予選の初戦、北朝鮮戦の試合終了間際に劇的な決勝点を奪うなど、チーム最多の3得点。本大会では途中出場で3試合に出て無得点に。1998年フランス大会の最終予選で、三浦知良(現J2横浜FC)にいたっては、代表落ちした。

3試合で決勝トーナメント進出が決まるW杯の1次リーグは、アジア最終予選以上に1店の重みが増す。現代表でW杯本番で点を取ったことがあるのは、本田と岡崎慎司(レスター)だけだ。2人はすでに31歳。原口も「いままでの延長線だと来年活躍できる保証はない」と戒める。18年ロシア大会で日本が勝ち抜くためには原口を含め、2人に続く「点取り屋」の出現が待たれる。
(河野正樹)