2018年7月5日木曜日
日本チームのロッカー室が!!
7月2日(日本時間3日の03:00~)
ロストフ・ナ・ドヌのロストフ・アリーナで2018FIFAワールドカップロシアの16強対決でベルギーと対戦。
前半は0-0、後半48分に原口、52分に乾のシュートが決まって、ここで2-0とリードしたが、その後ベルギーに3点入れられ、敗退した。
最後の最後でベルギーに逆転を許した。
史上初のベスト8まであと一歩のところまで迫ったが、優勝候補と言われていたベルギーに互角の戦いをした。ベスト16で大会を去ることになった。
ところが、これから書きだすことが大変なことなのだ。
日本はベルギーに惜しくも敗れたが、試合直後のロッカールームが、日本チームが使う前よりも綺麗に清掃されていることに、FIFAのジェネラルディレクターを務めるプリシラ・ジェンセンズさんが気づき、その綺麗に清掃された室内の写真をツイッターに投稿した。
床にだってゴミ一つない。
日本代表は、闘いに敗れたとしても、対戦相手と握手をし、涙をのみ込んだ。
テーブルにはロシア語で「ありがとう」とメッセージが残されていた。
そのメッセージには折り鶴が添えられていた。
これは日本人の感謝の気持ちを表したのだろう。
競技場では、ファンがゴミ拾いをした。そのことについても称賛していた。
ある国のサッカー協会からは「全てのチームのお手本」だとも言われた。
このゴミ拾いは何も競技場だけの話だけではない。
東京の渋谷では夜の暗みが薄れ、朝あけになりかけた頃、若いファン達が大いに騒いだ。試合内容が悔しいことや辛いことを、見知らぬ人同士でハイタッチなどで交流を深めた。
それからのこと。
皆がゴミ拾いを始めたのだ。
お巡りさんもマスコミの人たちも、この作業に驚いていた。
(20180704の天声人語)
江戸の昔、日本が世界を驚かせたことがある。
街路のゴミの少なさだ。
スペインの総督や英国の外交官が清潔で手入れの行き届いた街路に感嘆した。
とはいえ江戸庶民が格別にきれい好きだったというわけでもなさそうだ。
将軍や外交使節が通る町々には「街路を掃け」「水を打て」とお触れが出たという〈伊藤好一著『江戸の夢の島〉。
町の美化は細かな「しつけ」のたまものだったようである。
サッカーW杯ロシア大会でも、日本から駆けつけたサポーターたちの「ゴミ拾い」が海外メディアを驚かせた。
現地で取材中の同僚に聞くと、日本式の後片付けは絶賛調で報じられ、会場でも触発されてゴミ拾いを手伝う地元ロシア人の姿が見られたそうだ。
英BBCなどは手放しでほめた。
「日本では各種スポーツ大会の後、観客がごく自然に後片付けをする」。
なぜなら「日本では幼いころから家と学校で掃除や整頓を教え込む。国民性の一つ」と文化論を展開した。
さすがに面はゆくなる。
1964年の東京五輪の直前、東京の街にはゴミがあふれていた。
プラスチック製のふた付きバケツを導入。
ゴミを出せる日を制限することで、何とか体裁を取りつくろうた。
ハレの舞台になると清掃に励むというのが実態のような気がする。
さて評価のされ方が大仰であるものの、今回のW杯で日本のサポーターのふるまいが世界の注目を集めたことは素直に誇らしい。
日本代表の健闘も光ったが、日本式ゴミ拾いも堂々たる足跡を残した。