20181203(月)の朝日新聞より下部に転載させてもらった。
国際的に、ギクシャクしている国家間折衝問題。
アメリカは、我が国は保護貿易国ではない。
経済において、中国の覇権を絶対、どんなことがあっても許さないなんて考えてはいません、と言いながら、貿易については関税に限りなく中国に負担を厚くする。
方(かた)や中国は、有り余る国民の消費力を利用して、コツコツと覇権をめざす。
アメリカの大統領の顔色、声音(こわね)の激しいことと同様に、優しい顔をしながら中国の習近平主席だって苦しんでいる。
当初目論んでいた貧困撲滅、債務削減を排し、大型財政出動に舵を切ったが、株価の下落や人民元安になり、国内での経済に耐えかねている。
国内経済減速とアメリカとの熾烈な貿易戦争だ。
北朝鮮はどんな反応をしかけてくるのか、最初の元気が今、見えてこない。
中国には細少にわたって、打ち合わせをしているのだろうが、これもよく解らない。
韓国だって、何か頭でも可笑しくなったのではないかと疑われることが多事にある。
先ず、韓国の最高裁が韓国人の徴用工訴訟で、確定(審判)させた波紋が国内外で続いている。
1965の日韓国交正常化の土台を突き崩すような司法判断だから、大騒ぎになるのは当然だ。
だが、日韓双方で勘違いや誤解も多過ぎる。
支持率が下がりつつある文在寅大統領は、この支持率の下がり止めをなんとか阻止したいから、急に、変な動きになったのか。
国民に対して自棄(やけ)に親愛を見せている。
北朝鮮の最高指導者の金正日にしても韓国の文在寅大統領にしても、日本との今後の関係について、良く図られるための策の提案が何もないのが、楽しくない。
ウラジーミル・プーチキン大統領の支持率が、8割から37%にまで急落した。
この原因は、年金問題だ。
ロシアでは、W杯(サッカー)の開幕直前に年金受給開始年齢を引き上げる改革案を議会で可決しようとした。
年金だけではなく医療などの社会保障に対する国民の不満は大きく、世界銀行がロシア政府に対して、この分野にもっと資金をまわすべきだと提言した。
プーチン大統領が9月の東方経済フォーラム総会の場で、前提条件なしでの露日平和条約を年内に締結したいと提案があった。
このプーチキン大統領さん、日本に何かと口挟んでくるが、どうしても契約の締結までは到達できない。
日本にとっては、何もかも深く考えていないのではないか。
日本にとっては、先ずは領土問題の解決ありきが前提問題なのだ。
★朝日新聞より
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政治/断簡
編集委員・佐藤武嗣
背を向ける日韓 遠のく和解
「今の文在寅(ムンジェイン)政権は北朝鮮しか見ていない。徴用工の判決に韓国国民が喝采し、慰安婦合意見直しも歓迎だ。
対日関係を真面目に考える官僚は外され、政権はポピュリズムに走っている」。
ある韓国の記者が解説してくれた。
米国大使館の招きで来日した韓国の記者と交流する場があった。
お互い酒を飲みながら、自衛艦旗の抑揚問題や慰安婦財団の解散など、なぜ歴史問題を蒸し返す動きが韓国で再び活発になっているのか尋ねた際の考えだ。
だが、その記者は逆にこう疑問もぶつかってきた。
「日本の外相が街頭演説で、『元徴用工への補償は韓国政府が責任を持て』という趣旨の発言をした。
なぜ、ことさら韓国政府を刺激するのか。日本も韓国との関係を真面目に考えている人がいないのではないか」。
慰安婦をめぐる日韓合意の扱いなど、韓国の対応にも問題はあるだろう。
さりとて感情に任せて『(合意は)1ミリも動かさない』(菅義偉官房長官)とか、徴用工判決に「暴挙」だ(河野太郎外相)と必要以上にとげとげしい言葉をぶつけたのでは、日韓関係はささくれ立つだけだ。
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3年前の慰安婦日韓合意の際、ワシントンで特派員をしていた。
日韓両国が「歴史をめぐる和解」に一歩踏み出したのを心強く思った。
橋渡し役を演じたオバマ政権も合意を大いに歓迎していた。
だが今、日韓は背を向け、その距離は再び広がりつつある。
「歴史和解」にオバマ氏はこだわった。
4千人超の日系人や戦争捕虜が強制的に抑留されたハワイのホノウリウリ日系人収容所跡地を国定史跡に指定。
「過去の失敗を繰り返さぬよう、我々の苦痛を伴う部分を史跡にしたい」と語り、歴史と向き合う姿勢を鮮明にしたのが印象的だった。
安倍晋三首相が米議会演説で「先の大戦に対する痛切な反省」を口にしたのもオバマ氏の有形無形の働きかけがあったからだろう。
その後、大統領は被爆地・広島へ、首相はハワイ・真珠湾を互いに訪れて「和解」を誓った。
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オバマ氏が日韓両政府に和解を呼びかけ、その延長線上に日韓合意もあったが、立役者が去り、トランプ氏が大統領に就任した。
同氏はかって首相の真珠湾訪問で「真珠湾への奇襲攻撃をなぜ議論しないのか。何千もの米国人が命を落としているんだ」とオバマ氏を批判。
日韓の「和解」にまるで興味はなさそうだ。
地道な交渉を積み上げた合意がほごにされ、携わった人に落胆と憤りはあるだろう。
だが、日韓悪化をひそかに喜び、利用できると中国や北朝鮮が考えてもおかしくない。
首相は総裁選で、残り任期を「戦後外交の総決算」にあてると誓った。
北方領土のみならず、隣国・韓国との「歴史和解」も総決算に値する。
相手をなじるだけでは負のスパイラルに陥れるだけだ。
首相が米議会で口にした過去への「痛切な反省」を韓国側に陰に陽に伝えつつ、問題だと思う部分は二国間、国際社会で理をもって堂々と反論する。
そうした大局的観点から関係改善に尽くしてほしい。