朝日新聞の記事より。間接照明で練習する座間高校
第89回全国高校サッカー選手権が30日から始まる。全国から48代表が決まった。神奈川県からは、県立座間高校が代表に決まった。かって、名門校と言われる学校が上位を占めてきたのだが、昨今、群雄割拠の時代に突入、どこから、栄冠を勝ち取る学校が出てくるのか、想像がつかない、と新聞では書かれていた。
栄えある代表チームでプレーする選手にとって、これほど意気の上がる大会はない。サッカーファンにとっては、正月の休みの、見逃せない重要な大会でもある。会場に足を伸ばすのもよし、コタツでミカンをむきながらの観戦は、堪らない魅力だ。勝ち進んでいくうちに、さなぎが脱皮するように、一人ひとりが、チームが、一皮、二皮むけながら成長していくのを、毎年、必ず見せ付けられる。外れがないのだ。だから、開幕が待ち遠しい。
此処で、県立座間高校のことを、触れたくなったのです。それは、私の息子が高校時代に座間高校と対戦した時のことを思い出したからです。私の息子・草が通っていた高校は権太坂にある県立光陵高校、自宅から歩いて十分もかからない距離にある。
光陵高校のグラウンドで、高校サッカー選手権の神奈川予選のベスト8進出を賭けた試合があったのです。この対戦相手が今回神奈川県代表の座間高校だったのです。今から約10年ほど前のことです。
前半は2-0で、光陵が優位にたった。光陵にはラッキーなゴールでもあった。光陵の選手たちの父兄と何とかこのままで終わってくれればいい、と本気でそう思っていた。その思いは、どの父兄の表情からも、読みとれた。青のお父さん、幼少の頃は保土ヶ谷のマラドーナと言われた川のお父さん。黒のお父さんとお母さん。私は、一抹の不安を抱いていた。それは、座間が劣勢ながら、攻撃の手を緩めなかったことです。ゲームの内容は点差はあっても、五分五分だった。
後半、光陵の選手は浮き足立ってきた。勝ちを意識したのだろう、体が強張って、へんてこなパスを出したり、つまらない反則を取られたり、黒の落ち着いていこう、という指示も弱弱しく聞こえた。私は、大きな声でしっかりせいと怒鳴っていた。前線にボールがつながらない。光陵持ち前のチームの一体感が崩れてきていた。そこで、相手チームにとっては会心のゴールが、光陵のネットを揺らした。
そうして2-1に迫られ、2-2に同点にされ、延長で逆転されたまま終了したのだ。この時の座間は、勝利することへの貪欲さが溢れ出ていた。しっかりした日常の練習が裏づけされていたのだろう。よく走った。よくボールを追い回した。光陵は、幸運なゴールを得た優位をキープできるほど逞しくはなかった。この時の試合は、私の息子にとっても、高校最後の公式戦だったのですが、悔しさは残ったろうが、考えさせられるところが多々あって、意味ある試合だった。大いに学習したことだろう。
今回の県代表までの座間高校の道のりは、厳しいものだったようだ。準決勝戦での逆転勝利はさどかし、圧巻だったことだろう。息子が高校生だった頃から、座間高校は最後まで諦めないチーム作りを心がけ、その積み重ねが今回の県代表に結びついた。
県立高校では優秀な選手を沢山集めるには無理がある。そんな条件の下に県代表になったことは、何はともあれ、凄いことだと思う。おめでとう。
本大会での活躍を期待したい。