2012年9月10日月曜日

これや!ザック・ジャパン

サッカーマガジン編集長の北條 聡さんが、20120906日経新聞のスポーツ欄で、最強FCバルセロナ攻略法として、三原則を提案していた。

11-12 バルセロナ ホーム ユニフォーム NO.10 メッシ  オサスナ09/10 ユニフォーム ホーム半袖

FCバルセロナ                  オサスナ

 

この文章を読んでいて、視線を日本代表に向けると、元日本代表監督のイビチャ・オシム氏が、まさしく代表チームに言い続けていたことだと理解した。北條氏とオシム氏は切り口は違うが、その内容は同じだ。それがここに至って、ザック・ジャパンの実力の下支えになっていると、私は思っている。

北條 聡さんの文章をそのままここに転載させてもらって、文章を吟味しながらザック・ジャパンを考えようではありませんか。

オシムは在任中、走れ、走れと言い続けた。

高い位置での守備を懸命にやる、そこでボールを確保できたとしたら、一気にチャンスが生まれる。中盤での動きを活発化することで、相手のパスをカットしたりコースを狭(せば)められる。下がるなとは高い位置を陣地(兵隊を多く集める)にして攻撃の基点とする。離れるなとはマークをしっかり抑えて、強制力を働かせるということだ。走り続けることで、数的優位を作る。数的優位に立つということは、当然、相手に数的優位を許さないことだ。これらの動きを忠実に正確にこなすためには、走って、走って、走り抜かないとオシムの要求を満たせない。

オシムのオジサンに教えられたことで、日本代表はかってよりも戦いやすくなっていることを理解して体得した。そのベースの上にザックの采配が重なる。

下の北條氏が認(したた)めた一文は、何もバルサ攻略だけではなく、普遍的なサッカーの基礎力水準表と考える。次の段階への課題は、これらの精度を高めることなんだろうが、そのことについては次の機会に記すとしよう。

ーーーーーーーーーーーー

20120906

日経新聞・スポーツ

 

海外サッカー

バルサ攻略の三原則

下がるな、休むな、離れるな

ーーーーー

最強バルセロナ攻略法として、こんな三原則を提案したら、どうなるか。

1,下がるな(前進)

2,止まるな(無休)

3、離れるな(接近)

この3つを忠実に守るとバルサは思いのほか、苦戦する。そんなたくらみを実践した伏兵がいる。

オサスナだ。

バルサと同じスペインの地方クラブだが、侮るなかれ。昨季、バルサに3-2と競り勝っているのだ。

そして、今季の第2節で早くも対戦。1-2で敗れたものの、再び、三原則を守って、追いつめた。

バルサ最大の強みは、球を失わないこと。対戦相手は簡単に球を奪えない。それを前提にして対策を施すチームは少なくないが、オサスナは違う。球を奪えない?では、何とかして奪えるようにしてしまえば、有利になるのではないのか。逆転の発想だ。

なぜ、バルサは球を失わないか。数の優位をつくっているからだ。常に、2対1、3対2の局面をつくり、余った味方へやすやすと球を逃してしまう。

バルサ主義を植えつけたヨハン・クライフが「パスの流れは(フリーの)受け手で決まる」と話しているように、数の優位が保持の決め手となる。

逆に、数の優位が消えると、バルサが苦しくなる。1対1の争奪戦に持ち込む。そこが攻略の狙い目だ。

バルサを狭い空間に閉じ込め、人への距離を詰めて素早く仕留める。その仕事をやりやすくするのが、あの三原則なのだ。

前から順番にフリーの敵を捕まえ、パスの出す選択肢(受け手)を消していく。後ろで余った敵の攻撃陣はオフサイドの網にかける。すると、数の優位を失った球の持ち手が孤立し、1対1に持込みやすくなるわけだ。

1対1なら、オサスナも五角以上の勝負ができる。バルサを上回るフジカル(速さ、高さ、強さ)という長所を最大化できるからだ。接触必至の肉弾戦なら軽量級の多いバルサの面々から、球を奪いやすい。

こうしてバルサの長所を可能なかぎり最小化した。オサスナが、ほぼ互角に戦えた理由だろう。

一人でも三原則を破る者がいれば、無謀な試みになりかねない。覚悟と信頼、1対1なら優位という力量と自信が必要だ。オサスナには、それがあった。

玉砕を恐れぬ勇気の産物。オサスナと同じ志を持った刺客が続々と現れるのではないか。そんな予感に満ちたシーズンの到来だ。