2014年1月3日金曜日

荒ぶる魂が、吼える

2014 004

20131220 私の一番身近なところで、小さな命が果てた。悲しい師走になってしまった。

泣いても泣いても、体のどこでこれだけ大量の涙が作られるのか。いつまで経っても枯れない、人体の謎だ。このような時に、何をして?気を晴らすかは経験的に身につけている。

軽症のときは、身辺の整理整頓と掃除で気分転換を図る。学生時代はスポーツだった。部員が揃っての練習を終えてから、とんでもない特別メニューを考えて自らに課した。社会人になってからも基本的には変わらないが、肉体労働で体をくたくたになるまで追い込むことだ。肉体を虐(いじ)めて追い込めば、私の魂が荒ぶる、野生的に吼える、そして、やがて精神は静穏になる、これが私の習性だ。このようにして、何度もピンチを乗り越えてきた。

そして今回思いついたのは、住宅の解体作業で体に鞭打つことだった。港北区で仕入れた土地には古い住宅が残っていて、この家を壊して、土地だけの売却も視野に入れているが、それよりも、建売住宅として販売したいと考えている。

年の瀬の27、28、29日の3日間を解体作業で過ごすことを決めた。この解体作業こそ復活の糸口だ。スタッフは経営責任者の中さんの義弟のスチィーブ君と私の二人だ。彼は30歳になったばかりの若者だ。解体と言っても、柱や梁などの主要な構造部分はプロの解体業者さんにお願いすることにして、私たちは建具、床、天井、壁と、建物に施された付着物などの撤去だ。

それでも、大きなバールやハンマーを振るうことは多く、私たちには充分過酷な作業だ。かって、同じような作業を何度も経験したが、今回は、加齢のせいか体に堪(こた)えた。屋根裏、天井からの土ぼこり、土壁のため粉塵の多さにもまいった。

初日、二人は無我夢中で働いた。捗(はかど)った。年はとっても、私は平均的な一人前の仕事はできる。もう一人のスタッフのスチィーブ君は、一人で二人前の仕事をこなす。3時間みっちり仕事に没頭、二人で三人前の仕事の成果に満足した。が、私は疲れていた。

そして二日目、同じように夢中で働いた。前日よりも、力任せの仕事は減って、細かい部分の撤去作業だ。建物内の壁はなくなったので、室内の全体が見通せるようになった。

作業中振り向くと、スチィーブ君が猛烈に働いていて、その気迫に圧倒された。私だって負けてはいないぞ、と自らを叱咤。が、疲れは増すばかり、休もうと話しかけても、彼はただ笑うだけで休もうとはしない。階段を壊そうとしたが、構造がよく解らなくて手のつけようがない。仕事を始めるときに決めていた終了時間よりも、1時間半も長く仕事をすることになった。

こなした仕事の量の多さにもう少し感動的になっても、いいのに、、、、、、私はただ終わりだ、メシだ、とスチィーブ君に告げるばかり。

家の周りには廃材で溢れた。

年の瀬、隣家にも気兼ねをしなければならない、と考えて予定していた29日の作業は休みにした。体の各所の筋肉が痛いことも中止の理由だ。スチィーブ君は仕事をしたがっていた。正月気分を吹き飛ばすためにも、仕事始めの1月4日には、解体を始めることにしよう。

大晦日の夜、鮟鱇(あんこう)鍋。来年はいい年にしたい。