2011年5月7日土曜日

こどもの日、うちはよもぎ湯だ

初老の私には、菖蒲湯はキツイ、やはりよもぎ(蓬)湯がお似合いだ。

5月5日のこどもの日には、五月人形を飾り、鯉のぼりをあげたり、ちまき(粽)や柏餅を食ったり、そして菖蒲湯に入ることになっている。我が家でも、今までは家人が用意してくれた菖蒲湯を何も考えずにつかってきた。

この菖蒲湯は江戸時代からは民衆の間でも習慣になったようだ。菖蒲を尚武とかけたらしい。こどもの日、とりわけ男の子の成長が、強く逞しくあって欲しいと願う日。菖蒲の葉は細く長く、武士が携える刀に似ている。

ところで、尚武とは=武道、武勇を重んじること。

今年は、私の身の周りに変化があって、そんなわけで、ス-パーの店頭に菖蒲が並んでいるのに気づいて、改めて、菖蒲湯ってなんだっけ、何是(なんぜ)こんな物を風呂に入れるんだと思い巡らして、それなりに思い当たっても、今まで何十年と利用してきた割りには、感慨が浅いことに今になって感じた。

それは、菖蒲という植物に馴染みがないこと。それに、私は女の子3人と男の子1人を育てたのですが、なにも取り立てて、男の子の健やかな成長を祈るなんてことに抵抗があった。その後知ったことだけれど、尚武という文字を見ただけで毛嫌いする私の感性も加わったことが原因だったようだ。

私の田舎〈京都府綴喜郡宇治田原町)では、こどもの日の頃、よもぎのシーズンでもあって、野良仕事に忙しい母にかわって祖母が、頻繁によもぎ湯をしてくれた。

よもぎは宿根草で、畑などでは少し油断すると、どこからか忍び寄ってきて、それがどんどん根茎を伸ばして、農作物を育てる百姓にとっては厄介者です。それほど馴染みのある草なのです。

祖母は、よもぎのシーズン中、数回、よもぎ団子や草餅を作ってくれた。祖母の作ったものは、何でも日本一美味かった。一度に沢山作るので、暫らくはおやつは絶えなかった。少し経つと表面が硬くなるが、火鉢の炭火でゆっくり焼くと、香(こう)ばしいよもぎの香りが、家の中に充満して、皆の心や体を癒してくれた。家族の顔が微笑ましく見えた。

私は、よもぎ湯を作るために、一週間前によもぎを刈ってきて、ベランダの軒下に陰干しをしておいた。そして、こどもの日の翌日、こどもの日の当日では菖蒲湯と張り合っているようで、避けて、よもぎをタオルに包めばいいんですよ、と友人のアドバイスに従って湯に浸した。

いっぱいエキスを出せ、と風呂に入ってよもぎをタオルの上から揉んだ。翌日の朝風呂、よもぎの栄養分が煮汁のように出たようで、湯は薄く黒ずんでいた。香りが浴室を満たしていた。

薬効が高く、身近な薬草で、通称「万能薬草」と言われているらしい。栄養価も高く、健康食品でもある。草餅、よもぎ団子が代表的だ。香気は邪気を払うといわれ、昔から魔除(よ)けに用いられ、ストレス解消、安眠をもたらす。血行を促進させるため肩こり、神経痛を和らげる。

菖蒲湯は精神論的で、よもぎ湯は健康志向の実用的?

以前、20110426の『蓬(よもぎ)を食べる』でも書いたのですが、沖縄のそば屋さんでは、「ソーキそば」によもぎをふりかけて食べていた。店のテーブルには笊(ざる)に入れたよもぎが置いてあって、それを自由にふりかけていた。ソーキとは豚の軟骨です。私はラーメンと思ったけれどラーメンではなく、ソーキそばと名前にそばがつくが、麺はそば粉を使わないで、100%小麦粉で作る沖縄独特の製法による麺だ。沖縄では、よもぎが豚並みの重要な食材だ。

こどもの頃、私の家では牛を飼っていて、牛のえさに近所の野原で草を刈ってきて食わせるのですが、その草を刈るのが長兄の仕事で、私はそのアシスタントでした。兄が間違って、鎌で手や指を切ることが度々あったのですが、その際、兄はよもぎで切れたところを包み込むようにして止血していたのを思い出す。よもぎには殺菌、止血収斂(しゅうれん)作用のあるタンニンが多く含まれているということを、12,3歳の兄が、よくも知っていたものだと、今さらながら驚かされた。今度郷里に戻ったときに兄貴に確かめよう。

今日20110507は、ゴールデンウイークで私の唯一の休日だ。

よもぎ湯に、昨夜入って、今朝入って、昼にも入った。昼には、墨を薄めたように黒くなりかけていた。

そこで、また思い出したことがあるのです。よもぎ湯だけでなく、番茶を入れた風呂にも入ったことがあった。あれは、我が家のオリジナルだったのだろうか。兄貴に聞かなくてはならないことが、もう一つ増えた。