2011年5月21日土曜日

西岡議長、耄碌(もうろく)したか

西岡 武夫

西岡武夫参院議長のことは、私が某鉄道系不動産会社に勤務していたときに知った。それは、彼が逗子に所有していた土地付住宅の売却を担当したからです。今から三十余年前のことです。現職の国会議員だった売主は、クリアーな取引をしなかった。今、この話を彼に蒸し返しても、記憶にございません、と答えるだけだろうが。

こういう政治家には、胡散臭い連中が蛾集するようだ。日本の主要な企業の社長さんが名を連ねる経済団体の役員が買主として名乗り出てきて、自らヤバイ取引のお手伝いをしてくれたしてくれたお陰で、私は楽だった売主と買主と私だけが知っているウルトラXな取引が円満のうちに成立して、完了した。某鉄道系不動産会社が当然得られるはずの仲介手数料は半額に値切られた。このウルトラXな取引の内容については、元役員さんにも影響がでるので、今回は伏せることにします。

それに、西岡議員は売却による譲渡所得税を誤魔化したのです。売却物件は、税において特例を受けられる居住用に供した住宅ではなかった。不思議な人が住んでいた。本来課税の対象だったのですが、特例を受けて税金がかからないように申告したのだ。私は、何も知らないことにしてくれ、と頼まれた。今は、ゆうに時効が成立しているのでしょう。

そんなつまらないことが縁で、この政治家のその後の政治的動向に興味を持つようになったのは当然至極のことだ。私には生来、このようなことに特に興味を持つようです。

彼が、ここまで無難に議員を続けてこられたのは、亡き父親の残してくれた遺産以外の何物でもない。ただ、選挙のための集票の知恵と、所属党を渡り歩く処世術に長(た)けているのだろう。個人的な損得から、意見を述べているだけだ。

民主党の人材難に恵まれて、二つある立法府の参院の方の議長になった。

19日の定例記者会見で、「(菅)首相は、即刻辞任すべきだ」との書簡を18日、首相本人あてに送ったことを明らかにし、ほぼ同じ内容を19日付の読売新聞に寄稿した。記者会見で「首相のどこがダメなのか」と問われ、「全部だ」と断言した。「野党が衆院に内閣不信任決議案を出す以外に道はない」とまで言い切った。

この男は何かを勘違いをしているようだ。お前は参議院の議長だぞ。

首相指名は衆院の決定が優越し、内閣不信任決議も衆院だけに許されている。彼は、参院の議長だ。参院の議長は、政府権力の構成内容とは距離を置き、中立の立場を貫き、「良識の府」の最高の権威を確立した存在だ。立場上、国会運営などについての忠告や進言は、歴代の参院議長にも見受けられたが、今回のような直截で、露骨な非難はなかった。立法府の国会の最高責任者が、行政府の長を辞めろ、と言ったのだ。三権分立の民主主義制度の根幹をいとも容易(たやす)く乱そうとするのか。

野中尚人学習院大学教授は、朝日新聞の記事によると、議長は参院で最高の権限を持つ責任者で、重要案件について正式な手続きを経た院の意思決定前に、議論に大きな予断と影響を与える行動は慎むべきだ。政権の命運に影響を与える発言は抑制する必要がある、と言っている。

この男にこれほどのことを言う資格はない。私には、菅直人首相を擁護する心算は一切ない、むしろ批判して止まない。これらの議長発言の内容を読売新聞では好意的にとらえていると聞いた。生憎、読売新聞はまだ読んでいない。

こんな破廉恥な発言を臆面もなく発言する議長も可笑しいし、こんなことを言われる首相もどうかしているよ。

こんなことから、石原慎太郎・東京都知事の天罰発言を、マンザラでもないなあ、と思ってしまうのです。