2011年12月24日土曜日

和田、匠の技に期待する

275px-SH-Tsuyoshi-Wada

写真は、Wikipediaより拝借

12月20日、ダルビッシュ有(25)は、ポスティング(入札)制度でテキサス・レンジャーズが交渉権を得たと発表された。日本が代表するピッチャーだ。最速156キロ。さどかし、契約交渉金は高額なんだろう。年俸も目が飛び出すほどの高額な筈だ。それは、それで結構なことだ。松坂や黒田のように直球主体の本格派投手だ。

ところが、どっこい、ここに和田毅がいる。

今シーズン、オリオールズに入団が決まった。小さなテークバックで球の出どころが見えづらい投法が、どれほどメジャーの強打者のタイミングを外せるか、我々の興味は増すばかりだ。

入団するオリオールズのチーム防御率が、昨シーズン、メジャー30球団で最悪だった投手陣の立て直しの役目がかかっている。求められ、望まれ、期待されている。

和田君よ、働く環境は十二分に用意された。やるっきゃないぞ。世の中の誰よりも君の成功を祈っている。

ーーーーーーー

朝日朝刊

20111220

EYE/和田 匠の技で開拓を

編集委員/西村欣也

ーーーーーーーーーー

彼の後ろに新しい道ができるのではないだろうか。ソフトバンクから海外フリーエージェント(FA)でメジャーリーグのボルティモア・オリオールズに移る和田毅のことだ。

速球の平均は135キロほどだ。メジャー基準には遠く及ばない。体も華奢(きゃしゃ)な部類だ。しかし、彼には他の投手にはない大きな武器がある。

左腕で、球の出どころが極端に分りづらい。これは早大時代、友人のトレーナーと徹底的に研究しつくして生まれたものだ、それまで、「怪物」といわれた江川卓が持っていた東京六大学記録通算443奪三振を大きく上回る476奪三振を記録した。

スピードガンの球速表示が低くても、三振がとれる、メジャーでは珍しいタイプの投手。だからオリオールズの入団会見で和田はきっぱり言った。「僕は空振りをとってきた自負がある」。

思い浮かべるのはボストン・レッドソックスのテイム・ウェイクフィールドだ。速球は130キロほどで、あとはナックルボールで三振の山を築いていく。ヤンキース時代の松井秀喜が最も苦手にしていた投手の一人だった。

「どうして打てないの」と松井にぶすつけに聞いたことがる。「だって、練習できないんですよ。だれもあんな球、投げられないんだもの」。

和田の出どころの見えない球も、他の投手にはまねできない。匠の技がメジャーでの新しい道を開拓してくれることを願っている。

 

 

photo_wada_tsuyoshi01