2012年1月4日水曜日

頂点はゆずれない、女子サッカー

いきなり朝日新聞(20120101)のはからいだ。

昨年のW杯ドイツ大会に続き、今年のロンドン五輪でも金メダルを狙うサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」、と最大のライバルになるのが五輪3連覇を狙う米国だ。

急成長を見せている川澄奈穂美(26)と、世界の点取り屋と言われる米国のアビー・ワンバック選手(31)が、紙上での対談をした。

ワンバックさんは王者・米国チームで一番コワイ選手だ。川澄さんは昨季のなでしこリーグで得点王になり、最優秀選手にも選ばれた。

二人のコメントを紙上から乱暴に部分的に抜粋した。

ワンバック~

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過去2大会でも優勝しているので、ロンドンでも金メダルを防衛したい。まずは五輪予選を勝ち抜かなければならない。今は、予選突破が一番の目標です。現世界王者の日本が一番のライバルになる。それからスウエーデンも、私たちと同様フジカルが強くスピードもある。

日本は過去10年間、決定力さえあれば侮れないチームになると言われ続けてきた。でも、ゴール前やペナルティエリア内では礼儀正しくしているようで、シュートも打たないし、リスクも冒さなかった。そんな中で、点を取ろうと意気込む若手が出てきた。それが日本のチームを変えたのではないか、と思う。

緊張に打ち勝つことが大事になる。W杯決勝の前半では何人かの選手が緊張していて、最初の20分間までにものにしておくべきチャンスを決めることができなかった。今度は最初から強く激しくプレーしたい。

 

川澄~

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日本は世界のFWと比べると、1人で打開する力はまだ足りない。その代わりにチームとしてかみ合っている。みんなが献身的にチームのためにプレーできる。

ワンバック選手はすごいだけではなく、「いい人オーラ」も出ている。W杯決勝で日本が勝った後、悔しいはずなのに、沢さんのところに行って、「あなたを誇りに思う」って伝えていた。あのスポーツマンシップはすごいし、かっこいい。

なでか負ける気がしなかった。なんでだろう。根拠があるわけではないんですよ。延長戦でワンバック選手に勝ち越し点を決められた後、永ちゃん(永里優季)と2人でキックオフをしました。私が「このくらいの方が楽しいよね」って言ったら、永ちゃんも笑いながら「うん」と言ってました。最高に楽しかった。疲れなかったし、ずーっと試合をしていたいと思った。不思議な感覚でした。

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それにしても、なんちゅうことだ。

勝ち越されて、それでも川澄と永里が「このくらいの方が楽しいよね」、「うん」と会話を交わしてしてキックオフをしたなんて、俺にはどうしても考えられないことだ。余裕ではない、火事場の糞力? 開き直りでもない、これって、ちょっと奇妙すぎる。私たちが不思議千万な感慨に陥るのは極、当然だとしても、当の本人たちが不思議な感覚だったとは、全く不思議だ。こんなことは、今まで聞いたことがない。

そして、なでしこは猛烈に反撃に出た。そして神業(かみわざ)的な沢のシュートが生まれて、同点に並んだ。この沢のシュートは、右足のアウトサイド。蹴ったボールは、アメリカの守備陣の選手の腰部分に当たって、コースを変えた。アウトサイドのキックだったので、相手はコースを抑えられなかった。それに、スピードのあるボールが腰辺りにきたら、どうしても避けられない。当然、キーパーもコースを読めなかった。

あの時は、彼女等は純粋に戦うことを楽しんでいたのだ。

対談から少し外れるが、あのドイツW杯決勝戦のPK戦で日本が勝利した瞬間、日本チームは一斉にベンチに走り出したが、独り、アメリカの健闘を讃えるために、敗戦に打ちひしがれるアメリカチームに寄り添った宮間あやの姿や、今回のこの紙上対談で知ったことだが、ワンバックが沢に、「あなたを誇りに思う」と祝したことに、スポーツの持つ凄さ、崇高さを感じる。

万感!!スポーツの魅力に圧倒された試合だった。