2012年6月18日月曜日

日本の実力は、確かについた!

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20120613 日経・朝刊・スポーツ 前半シュートを放つ本田=共同

 

20120612、この試合を楽しみにしていた。

ブラジルW杯アジア最終予選の対オーストラリア戦のことだ。日本は、FIFAランク23位、オーストラリアは24位。

対オーストラリア戦の試合の内容次第で、5大会連続5回目の出場を狙う日本〈ザック ジャパン〉の実力がはっきりと確かめられるからだ。日本国内では、オマーンとヨルダンに快勝したものの、オーストラリアはアジア屈指の実力国、W杯ドイツ大会でも苦しめられた。このチームとどのような試合運びができるのか、多くのサッカーファンは期待した。会場がオーストラリアのブリスベン、当然99%の観客が日本にとっては敵だ。

オーストラリアは、前半の前半から力でねじ伏せてやる、そんな攻撃を仕掛けてきた。観客も一体になって。先取点が欲しかったのだろう。前線に長いボールを放り込んで、それを力で押し込もう、そんな単純な戦法だった。日本は、よくピンチを逃れた。内田の不運なファウルでPKを献上したが、それ以外失点を重ねなかった。守りきったことも褒められていい。

欲を言えば、日本にはもう1、2点ゲットできるチャンスがあった、それをものにして欲しかった。

結果、1-1の引き分けで勝ち点7、Bグループ首位になった。

この3連戦を振り返ってみて、日本が目指している攻守のスタイルができ上がったように思う。

守備ではマークを厳しくチェック、パスをカット、相手攻撃を中盤までで崩す。そして、攻守の切り返しを早める。攻撃においては、ディフェンスラインを上げて、相手の深いゾーンに切り込み、その狭いエリアの中でボールを回す、相手の裏をかく、ドリブルで相手バックスを外す、マークをずらしてフリーになる、そしてゴール前にボールをできるだけ多く交差させることで、ゴールチャンスを増やす。此の頃の日本のスタイルはこのようになるのだろう。

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以下、20120613 朝日・朝刊・スポーツ 河野正樹氏による記事を転載させてもらう。試合内容がよくわかる。

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20120613 朝日・朝刊・スポーツ 後半、攻め上がる本田=福留庸友撮影

 

日本ドロー 勝ちきれず

敵地初戦 守備落ち着かず

ホーム2試合の快勝は本物だったのか。それが問われた試合だった。

アジアトップレベルの実力を持ち、W杯ドイツ大会などで苦しめられたオーストラリアとのアウェーでの戦い。この日の試合運びには、日本の強さと弱さが同居していた。

相手の攻守の切り替えは予想以上に早い。日本が守備に戻っていないと見ると、すかさず、FWケーヒル、アレックスにロングボールをつなぎ、こぼれ球を拾ってたたみかけてくる。日本は何度もピンチを招いた。

「最初が悪くても立て直せるのが今の日本の強み」とDF長友は言う。前半途中から、相手をいなし、こぼれ球を拾って攻撃につなげる。後半になると、退場者が出たことに加え、序盤から飛ばしていたオーストラリアの足が止まった。そこを見逃さず、後半20分にCKからDF栗原が先取点。ここまでは磐石だった。

その後も落ち着いてボールを回せれば良かったが、相手が仕掛けたロングボールの応酬に乗っかってしまった。後半25分、微妙な判定とはいえ、内田がPKを与えて同点を許した。「相手が少ないのに受けに回ったのは、自分たちの未熟さ」とMF長谷部は悔やむ。

最大のライバルに敵地で引き分けは悪くない。ただW杯での飛躍を目指すならば、勝ちきる強さをこのチームは求めてもいい。永友は自覚している。「世界で戦うにはまだまだ。満足していない」

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20120613 日経・朝刊・スポーツ 後半、FKをセーブしほえるGK川島=共同

 

川島好セーブ連発

川島が再三のピンチを好守で救った。前半6分、オーストラリアFWケーヒルの至近距離のシュートを止めると、後半46分にはMFウィルクシャーの直接FKを間一髪ではじき出した。PKで1失点するも、日本守護神は「アウェーではどんなことが起きても仕方がない。自分たちの良さは要所で出ているので、前向きにとらえたい」。

 

 

主力の海外組み 綿密に調整

編集委員・潮 智史

最初の3連戦で2勝1分けは上々の滑り出しだ。ザッケローニ監督は「勝ち点7の事実より、いかに勝ち点を手にしたのか、その過程が気に入っている」。細部にこだわった周到な準備が実を結んだ。

チームはスタートダッシュにこだわっていた。目の前の一戦に集中しろと説きながら、監督も「勝ち点9を目指していた」と豪州戦後に明かしている。

背景にあったのは海外組の存在だ。主力の多くが欧州に足場を置く中で臨む最終予選は初めて。強みになる一方で、未体験ゆえの課題が出てくる可能性もある。欧州がシーズンオフの間に、予選の戦いを有利に展開しておきたかった。組み合わせによって、来年6月18日の最終節の前に全日程を終えなければならない事情もあった。

シーズンを終えたばかりの海外組に自主トレの場を与えたのは約1ヶ月前。体調管理を促し、予定になかったアゼルバイジャン戦を組んで試合勘を保たせた。最初のオマーン戦直前まで負荷をかけた練習で追い込んでいる。「体力調整は3連戦を想定してプログラムしてきた」。指揮官は試合中の交代でさえ、頻繁にドクターに意見を求めた。

コンビネーションは試合ごとに高まり、3次予選でもたつくことの多かった試合の入り方も改善された。すきの見あたらない試合運びで急速に力を伸ばした。

ただし、「3戦がつながっていたことでチームはよくなっていった」と答えた監督はさらに言葉をつなげている。「でも、これからは一緒にいる時間が減っていくーーー」。欧州のシーズンが始まれば、チームを支える選手は移動と時差を抱え、コンビネーションを合わせる時間は限られる。

「これでチームを離れてしまうのが代表の難しさ」。香川も手放しで喜ぶことはなかった。残り5戦にはまた別の戦いが待っている。