2012年10月7日日曜日

康介さんの後に続きたい

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競泳少年男子A200メートル平泳ぎ決勝で、世界新記録を出した山口観弘=細川卓撮影

 

先のロンドン五輪で日本の競泳陣は、銀3銅8個のメダルを獲得した。目標だった金メダルは獲れなかったが、テレビの画面に連日、何とも爽やかに、溌溂とした面々が映しだされる度に、我輩までも気分好くさせてもらった。

リレー以外は個人競技なのに、日本チームのチームワークの良さは今回の五輪は格別だったようだ。テレビの画面からも十分観て取れた。一緒に練習した成果なのだろう。

そんな五輪がロンドンで華やかに行われ、終わった。メダリストはそれぞれに由緒ある箇所箇所でその栄誉を称えられ、大忙しだ。その繁忙の中、練習不足にもかかわらず、ロンドン五輪に次いで、20120928,女子レスリング世界大会55キロ級の吉田沙保里(29)は10連覇を遂げた。五輪の3連覇を合わせて13大会連続世界一を記録した。

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吉田沙保里

吉田の快挙の2週間前、大忙しのメダリストをよそ目に俄然気を吐いたのが、五輪出場の選考にもれた高校生スイーマー平泳ぎの山口観弘(志布志高校3年)だ。20120915の国民体育大会「ぎふ清流国体」で、競泳少年男子A200メートル平泳ぎで2分7秒01の世界新記録を打ち立てたのだ。前人未到の2分6秒台に迫る勢いだ。

4月の五輪選考会で派遣標準記録を破りながら、3位で代表に選ばれなかった。選ばれたのは、北島康介(日本コカ・コーラ)、立石諒(慶応大・NECグリーン)の2人で、選ばれなかったことが、発奮材料になったようだ。

以下20120916の朝日・スポーツの記事をダイジェストさせてもらった。

山口の最大の強みは、手のかきとキックのバランスのよさだ。五輪競泳日本代表ヘッドコーチで東京スイミングセンターの平井伯昌コーチは「北島が四輪駆動の自動車だとしたら、山口はリニアモーターカー。減速しない」と言う。

ストローク数が多くなってもタイミングが崩れないので、4泳法で水の抵抗を一番受ける平泳ぎでありがちな「がんばっているのに進まない」という失敗がない。水中で流線型の姿勢を取った時、頭が両腕から上にはみ出て減速する課題も、この日はきちんと頭を両腕にはさみ、手先から足先まできれいな一直線になっていた。

終盤までスピードを保つ体力もある。北島は体力温存のためにストローク数を減らし、一度に大きく伸びる泳ぎだったが、山口は最後までテンポを落とさず押しきれる。

スタートやターンの細かい技術に取り組んだわけではなく、筋力もまだ強くはない。

変身のきっかけは、平井コーチとの出会いだ。地元クラブの勧めで昨冬から東京での練習に参加。一緒に練習していた五輪組の姿勢にも強い刺激を受けた。

来春からは、平井コーチが指導することになった東洋大に進み、4年後の五輪を目指す。楽しみな選手だ。

「康介(北島)さんの後に続けるような選手になる。タイムの目標は5秒台です」。