2013年3月26日火曜日

ぬたねぎで、母の追憶にふける

20130 008

20130323の晩飯用に作った、ぬたねぎだ。

 

20130320、山田農園主が援助耕作のねぎらいに? ねぎをたくさんくれた。

ぬたにしたら美味しいよと言われる前に、ぬた作りにチャレンジしようと決意した。母のことを思い出したのだ。

何故、いきなり、母が出てきて、ぬたなんだ?と訝(いぶか)られるかもしれないが、本気だった。母は毎日、暗くなるまで野良仕事に追われ、それから料理に取りかかるので、さぞかし大変だっただろうと、能天気な三男坊は今になってその奮闘に感謝している。母は農作業には重要な父のアシスタントだった。

腹を空(す)かした子どもたち、帰ってきたら先ず食事を求める父のために、母は超特急の手際のよさで太い腕をふるった。見てくれは格別素晴らしいとは言えないけれど、味は最高に美味かった。きっと、味付けや手順に秘訣があったのだろう。本当の真意は?(不思議な表現だ) 他人が作った物を食ったことがなかったのだ。母の手料理については、あらためて別の稿で書いてみたい。ここはぬたに絞る。

そんな母が作った数多(あまた)のメニューの中で、ぬたねぎが好きだった。

茹でたねぎと、味噌を酢と砂糖で甘酸っぱくしたものをすり鉢で、擂(す)った胡麻とワカメを入れて混ぜていた。焼いた油揚げも入っていた。

二人の兄には内緒で、私だけが楽しみにしていたことがあった。それは、母がぬたを取り出した鉢にご飯を少し入れて、鉢にこびりついた味噌を混ぜたお握りを、誰も居ない時を見はからってくれたことだ。母もお腹が空(す)いてつまんでいたのだろうか。何とも、他人様に申し上げるような内容ではないが、夕食前の空きっ腹には堪(たま)らなかった。

今回、この稿を書くのに「ぬた」の意味を初めて知った。私にはこの年になって初めてというのが多過ぎる。よっぽどの知識不足、世間知らずだ。今まで、ぬたと言えばぬたねぎのことだと思い込んでいたが、ぬたは一般的には酢と味噌の合わせ調味料で和(あ)えた料理のことだと知った。

語源由来辞典には、味噌が沼田のぬるぬるしている感じに似ているから味噌に限定して言われることが多いが、古くはぬるぬるした和え物全てをぬたと呼んでおり、味噌だから沼田というわけではない、とあった。