2013年4月11日木曜日

ハコベと鶏と祖母

私と経営責任者の中さんとは、此の頃、異常?!に力を入れているのが、商品化する戸建の中古住宅の外周りの整理整頓と美装だ。内部においては、関連のリフォーム会社が担当しているが、私と中さんとでできることはないかと考えた結果だ。

ある現場のリフォームの出き上がりをチェックをした際に、二人は雑草を取って汚れた塀に水を掛けて拭き掃除をした。その時に中さんがコンクリートの擁壁を高圧洗浄をやってみたらどうでしょう、と提案してきた。

早速、高圧洗浄機を購入してからは、全ての物件の建物の内部以外のコンクリート擁壁や駐車場、建物の外壁の高圧洗浄を主に中さんが担当して、私の方は生垣や庭木の剪定、混みいった樹木の間引き伐採、庭の除草を行うように、自然にそのような役割分担になった。好み通りに仕事を選べば、それこそ、効率の良い成果が得られるもんだ。

今はすっかり春だが、冬でも暖かい日が数日続くと、庭や空き地の地表に急に小さな草の芽が現れる。最初に目に入るのがハコベだ。春の七草の一種、馴染みの草だ。可愛い、小さな芽は何処にでも点々と生えてくる。大きくなっても、背は30センチまで、群れを作って小さな白い花をつける。生家の畑にも沢山生えて、除草したものを畦道(あぜみち)などに積んでおくと、いつの間にやら元気に根を張っていることがある。農家にとっては厄介な雑草である。

今、私は仕事として、その小さなハコベの茎を鍬で切る。大きなものは両手で引き抜く。ビニール袋に入れて、産業廃棄物として処分している。一本も残らず除草することに、草の神様に叱られそうな気がしないでもないが、新しく購入したお客さんとは、調和のとれた草と人間の関係を築いてもらいたい。私のイーハトーブの果樹園では、引き抜いた草や刈った草は、果樹の肥料になっている。決して、捨てることはない。

このハコベを見ると、必ず祖母のことを思い出す。子供の頃、このハコベを鶏の餌にするために、タモツ、ハコベを見つけたら採ってきてヤ、と常に言われていた。ハコベは只で容易に手に入る飼料だった。鶏の管理は祖母の担当。古米や麦、稗(ひえ)、豆類、貝殻、トウモロコシなどと混ぜて餌にしていた。卵の殻を丈夫にするために、シジミの殻を石の上で金槌で細かく砕いた。卵は貴重な栄養食材だったので、鶏は大事にされていた。ひよこの時には、ハコベをすり鉢で擦って練り状態にしてあげていた。

飼っていた鶏が、自分が産んだ卵を嘴(くちばし)で突っついて食べることがある。その場合、電球を厩舎に入れておくと、電球を卵と間違って突っつき、その硬さに懲りて、本物の卵には手を出さなくなる。祖母の知恵に私は感心した。

思い出は思い出を追いかける。

ひよこを孵化させることも、祖母の仕事だった。雄と雌を同居させておくと、ある時期になると交尾して有精卵を生む。この卵はひよこになるよと教えられたけれど、よく解らなかった。一度に4、5個の卵を抱いていた。抱卵から1ヶ月ぐらいだと思っていたが、この稿を綴るにあたって調べたら、21日目ぐらいに孵化するとあった。

縦横50センチ、高さ30センチぐらいの、上部に開け閉めができる扉と前面には顔を出せるぐらいの隙間を設けた箱に、親鳥を入れて抱卵させる。鶏舎の中でも抱卵することが可能だが、踏み潰すこともあるので、箱に入れて親鳥の姿勢を強制した。箱は父が作った。