日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は20130513、旧日本軍の従軍慰安婦問題に関して、「歴史を調べるといろんな軍で慰安婦制度が活用されていた。銃弾が飛び交う中、猛者集団を休息させようとしたら必要なのは誰だってわかる」、「日本政府が暴行脅迫して拉致した事実は証拠に裏付けられていない。ただ意に反して慰安婦になった人にはやさしく配慮しなくてはいけない」、「良しとするかどうかは別だ」、「当時、軍の規律を維持するには必要だった」と語った、と新聞で知った。
野党と言えどもそれなりの党員を抱える党首が、ここまで旧日本軍の慰安婦を容認する発言をしたことに、世界は、とりわけ韓国などからは強い非難の声があがっている。アメリカの高官も鋭く反応した。女性の人権を軽視し過ぎたこの発言は、世界の全ての善男善女を震撼させた。何事にも鈍感な私でさえ、この男、狂っているんではないか、とまで思った。
安倍晋三首相は、慰安婦問題については、「強制」は元々存在しないとする立場をとってきた。先の政権時代、米国での慰安婦問題批判を受け、ブッシュ大統領には「人間として、首相として、心から同情している。申し訳なかった」と言ったとか言わなかったとか。だが、そんな煮え切らない日本の首相の態度に業を煮やしたのだろう、米下院で慰安婦非難決議が採択された。
橋下共同代表は、先に沖縄県の米軍普天間基地を視察した際に「司令官に『もっと風俗業を活用して欲しい』と言った」、すると「司令官は凍りついたように苦笑していた」とも明らかにした。こんなことを話して、恥ずかしくなかったのだろうか?
それからが面白い。
もう一人のこの党の共同代表で暴走老人を自称する石原慎太郎は、主役を取られまいとしたのか、翌日の14日、橋下共同代表の発言に対して、「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもんだ。それをふまえて発言したのだと思う。彼はそんなに間違ったことを言っていない」と述べ、問題はないとの認識を示した。橋下代表の発言の報じられ方にも触れ、「あなた方(メディア)のとらえ方にも問題がある。この問題は被虐的に考えないほうがいい」と指摘した。
一人の代表が慰安婦は必要だったと言い、もう一人の代表は歴史の原理だと認めた。こんな代表らが、この秋の参議院選挙戦で憲法96条を緩和することを自党のマニフェストに加える。これを争点にしようとしている。自民党もみんなの党もこの緩和策に賛成している。
歴史認識の疑わしい安倍首相や高市早苗政調会長の自民党、それに日本維新の会の連中に、憲法をいじられては(改正なんて? 改悪でしょ)、堪(たま)ったものではない。
こんな連中に憲法をいじらせない、ゾ。
ーーー、さすが橋下共同代表も政治家、翌日20130516の新聞に、事態収拾を探るかのような表現をしたとあった。党内からの批判があったのだろう。「必要性を理解することと、認めることは全く別の話だ」、と。