20130813 今日は昼間ずうっと、孫の晴と二人っきりで時間を過ごした。たまにはノンビリしようと、スーパー銭湯に誘ったら、僕温泉大好きと返答あり。その前に、晴が「キャップテン翼」を13巻ほど何とかオフの古本屋で売りたいと言うので、本を袋に詰めて持って行った。小学3年生の彼には、買うことには慣れていても、物を売ることの経験はない。保証人はジジイだ。勇気が求められる初めての行為、ちょっと緊張気味で、いつもの緩みっ放しの顔が、嘘のようにコワい。我らにとっては売却、彼らにとっては購入の価額の査定に時間がかかると言われ、それならばと、店内の本棚を見回っていて、この「はだしのゲン」を見つけた。話にはよく聞かされたが、私は読んだことがなかったのだ。今は8月、いい機会だ。
今、この漫画を晴と競うように読んでいる。子どもの頃、親から漫画を買ってもらった記憶はないので、今でも漫画を読むことに慣れていない。だからか、私にとって、漫画を読むのも気に入った文学書を読むのも心構えは同じ。一こま一こまを隅々まで確認して読むものだから、遅読になる。中岡一家の構成は、主人公の国民学校2年生の中岡元(ゲン)、原爆で亡くなった父・大吉(だいきち)、姉・英子(えいこ)、弟・進次、生き残った母・君江(きみえ)、海軍予科練に志願した長兄・浩二(こうじ)、次兄の昭(あきら)、原爆降下後生まれた妹・友子。進次と瓜二つの原爆孤児・近藤隆太も一時期一緒に暮らした。
まだ、物語の半ばまでしか読めてはいない。物語は激しく進んでいる。どのページにも、作家・中沢啓治の気概が溢れている。圧倒されっ放しだ。
漫画が、これほどまで人に、感動を与えるものとは知らなかった。広く読まれるべきだ。「はだしのゲン」は、いい漫画だと感心していたところだった。
その最中に、ネットで下のような記事を読んで、なんじゃ、この松江市教委の措置は? 何を考えているのだろうか? 市教委の狙いは何か?
以下、毎日新聞より。
漫画家の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」について、「描写が過激だ」として松江市教委が昨年12月、市内の全小中学校に教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、全校が応じていたことが分かった。児童生徒への貸し出し禁止も要請していた。
松江市では昨年8月、市民の一部から「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に出された。同12月、不採択とされたが市教委が内容を改めて確認。「首を切ったり女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めた。
現在、市内の小中学校49校のうち39校がゲン全10巻を保有しているが全て閉架措置が取られている。古川康徳・副教育長は「平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」と話す。
私が大学を卒業した翌年1973年から「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった。原爆被害を伝える作品として、多くの学校の図書室には備えられ、教育現場の授業にも広く活用されている。会社のスタッフに聞いても、ほとんどの者が既に読んでいた。また、この漫画は約20カ国語に翻訳されている。ただの名作ではない、偉大な作品だ。必読書だ。
晴に、この漫画の表現が過激過ぎるという人がいるらしいけれど、お前はどう思うかと聞き質しても、怖いとか乱暴過ぎるとか、気分が悪くなったとは答えなかった。むしろ、質問の意図が解らなかったぐらいだった。それよりも、ゲンの妹・友子が誘拐されたことの方が彼にはショックだったようだ。今年の暮に、彼にも妹ができる予定なのだ。
女性の性器に瓶をつめる暴行シーンなど過激で残虐過ぎる描写が子どもたちに悪い影響を及ぼすのではないかとの意見に応えて、とった措置のようだが、子どもたちはそんな馬鹿ではない。旧世代、前時代的な、わからんチンによる判断だ。一教育委員会がこんなだいそれたことを、この程度の理由でこんな措置をとっていたとは、ナンタル(コッ)チア、サンタルチアだ。
お前らボケているのかと、ゲン(元)が、漫画の中から飛び出して殴りこみをかけてくる、覚悟をしておいた方がええですぞ、教育委員会の皆様、とりわけ教育委員長殿。市長さんのところにも、ゲンは棍棒を持って現れるかもしれませんぞ。
そろそろ、今日の二人のデイトも終わりだ。スーパー銭湯からの帰り路(みち)、歩いて2時間、二人は手をつないだり、コンビニに寄ってガリガリ君を食ったり、またしばらく歩いてはガリガリ君を食って、ぶらぶら、ぶらぶら、色んなことを話しながら歩いた。遠くに我が家が見えてから、ジジイは裸になる。そうだった! 中学校を卒業するまでは、夏の間、私は朝から晩まで「はだかの保っちゃん」だった。