2013年8月25日日曜日

吉か凶か? J1大宮監督解任

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20130824 朝日新聞・スポーツ

監督を解任された後にサポーターと別れを惜しむベルデニック氏

 

20130824の朝日新聞・スポーツ欄の「順位より解任 大宮選択  J1では異例 前監督と選手の溝深く」の記事を読んで考えさせられた。よって、私も意見を言いたくなった。

記事の内容は、万年残留争いのクラブを上位に引き上げた監督のズデンコ・ベルデニック氏(65)を解任したJ1大宮が、小倉勉新監督を迎え、再出発する。この解任劇の裏には、強いリーダーシップで選手を縛った前監督と現場の意見を取り入れながらチーム作りを進めたいクラブ側との価値観の違いがあったということだ。

◇指揮官の功績=昨年6月に就任したベルデニック監督は降格危機にあったチームを救った。守備を立て直して残留させると、今季は昨年5月から今年5月まで続いたJ1記録の21戦負けなしを樹立。さらに、7連勝をマークして、チームを初の首位に導いた。
注目度も急上昇し、各メディアで大きく取り上げられた。知名度も高まり、観客動員も増え、取り巻く環境は激変。指揮官の母国スロベニアのメディアでも、チームの結果が取り上げられるほどだった。

◇ところが、ここにきて連敗、不満が噴出=裏で、チームは問題を内包していた。指導法などを巡り、指揮官とスタッフ、指揮官と選手に溝が生まれ始めていた。


ベルデニック監督は自分以外のスタッフが選手たちに直接アドバイスすることを嫌ったらしい。ここで注意すべきは、大宮の快進撃には、当時ヘッドコーチだった小倉テクニカルディレクター(TD)らの助言などが、大きな効果をもたらしたとしても、その内容をフロント陣が監督に配慮のないやり方の表現を使って、外部にコメントをしていたこと、この騒動の実態が想像できる。良質な助言は、監督の指導の下で活きた。監督とコーチの間の溝問題は、明らかにフロント陣による仕事だ。それが怠慢だった。選手とのことは監督任せが原則。選手と監督が一体感がとれなくなったとフロント陣は言っているが、選手たちは口を揃えて、一体感はあった、監督をリスペクトしていると述べている。

 この騒動の全てはフロント、岡本武行ゼネラルマネージャー(GM)、鈴木茂社長らが、球団の管理監督を十分果たさなかったことが最大の原因と思われる。社長やGMの責任を監督に転嫁しては卑怯、悲し過ぎるぞ。必死に戦っている監督を、フロントはどのように、関与、後押しをしたのだろうか。連敗が始まる前から、社長やGMは監督の交代を模索していたと聞くが、これが本当ならば由々(ゆゆ)しい問題だ。前監督は、燦然と輝く成果をあげていたではないか。この解任は、チームの和を優先した結果だというが、問題を誤魔化しているのが、見え見え。

話を日本代表に換える。

今の日本代表が頑張っていることは認める、が、物足りなさを感じている人も、私だけではないだろう。この私のブログでも日本代表チームに辛口の意見を述べてきた。もう一(ひと)レベルアップするためには、脱皮するためには、何らかの方策が必要だと思う、と。

方策? 方策と言ったって、やることは変えることだ。チームの流れを変えるには、守備側に「異文化」の注入、「異能プレーヤー」の出現だと思っている。その者が変質者であって欲しいと書けば可笑しく理解されるかもしれないが、そのようなプレーヤーの出現を私は待っている。バランス感覚の良い監督ならば、受け入れ可能だ。今は、それをザック監督に望んでいる。

極論を言っているわけではない。従来と違った戦法や戦術で戦ったから、、、、監督がチームの一つひとつを変質させたから、、、、だから、J1大宮は飛躍できた。チームを変質させた前監督ベルデニック氏に、感謝を忘れてはならない。

日本代表の監督では、ハンス・オフト、フィリップ・トルシエ、イビチャ・オシムらが、それぞれに手法は違えども、日本人監督ではできなかった多くの要素を変質させてくれた。日本人監督らの、往々にして和をもって尊し精神では得られなかったことが、外国人監督らによって、高度な飛躍はまだまだ、だ、としても、強くなるための、勝つための理想的なイメージは描かせてくれた。ベルデック監督もその一人だった。

そんなことが、J1大宮のフロント陣は、どれだけ理解しているのだろうか。惜しい人材を失(な)くしてしまった。