20121108
開演=19:00
作=マーティン・シャーマン
訳=堀 真理子
演出=高瀬久男
出演=志賀澤子
会場=ブレヒトの芝居小屋
久しぶりのブレヒトの芝居小屋だ。今年2度も招待を受けながら、観劇に行けなかったことが気になっていた。そこで、今回はどんなことがあっても行くぞと決め込んでいた。さて、誰と行くかが問題だった。
今回は、毎週水曜日の午後に農作業の手伝いをしている山田農園の農園主と行く事になった。農園主はご婦人だ。農園に向かう或る日の車中、ひょんなことでお芝居のことを思い出し、唐突に誘ってみた。農園主は、じっくり私とこの劇団とのお付き合いのことを聞いて、同行を決意してくれた。
演出は、紀伊国屋演劇賞などの多くの賞に輝く高瀬久男氏が担当。東京演劇アンサンブル代表の志賀澤子氏がプライベートユニットで制作した。いただいたパンフレットには、志賀氏本人が、俳優人生の総決算として挑むなんて大袈裟なことを言っておられる。まだまだ、先輩には頑張ってもらわないとイカンのですゾ。
今回、芝居小屋に行くまでに、何らの理論武装もせず、予備知識を持たないままの観劇だったので、その場では、話の進んでいく具合を多少理解できても、肝心な部分が解っていなかったので、浮かぬ顔をしながら帰ることになった。
志賀さんの独り芝居だ。
舞台の中央に設置された木のベンチに座って、80歳になるローズが、波乱に満ちた自らの人生を語る作品だ。胸が苦しくて、水を飲み飲み、自分の生い立ちから今に至るまでの人生行路を、語る口調は、時には涙し、笑を浮かべて静かに語られていく。
話の筋はーーー
ローズはウクライナのユダヤ人たちが住む集落で生まれた。兄を頼ってポーランドに出かけた。ちょうどその時、ワルシャワにナチス・ドイツ軍が目の前を侵攻してきた。それからゲットーでの生活を余儀なくされる。
第二次世界大戦後、ローズは「エクソダス号」に乗ってパレスチナを目指した。しかし、運命のいたずらからアメリカのアトランティックに渡ることになる。そこで、知り合ったアメリカ人と結婚し、子供をもうけ、ホテル経営を軌道に乗せた。
保有していたホテル・ローズは繁忙から衰退、そして老人ホーム・ローズになる。そして年老いた今はマイアミにいる。
このお芝居を観ている時に、気になってしょうがない言葉があった。時々志澤さんの口から発せらる台詞(せりふ)の「シヴァ」、だ。
自宅に戻ってネットで調べてみたら、シヴァとはユダヤ教の信徒たちの葬式にかかわる習わしのようだ。葬式が終わると、遺族はシヴァと呼ばれる7日間の喪に服する。この期間、遺族は亡くなった人の友人や親戚の弔問を受ける。心身を鎮める。亡き人を語り遺族を心からいたわる。そのようにして、ユダヤ教の信徒は絆を深めていく。
シヴァの7日間が終わると、遺族はこれからの1年間の喪に服することになる。両親や兄弟姉妹が亡くなった場合は、1年間はお祝いごとや、お祭りに参加しないし、パーティーやコンサートにさえ行かない。楽しむことや浮かれることは厳しく戒める。
回顧話の中にシヴァが度々訪れ、話は進行する。
ストーリーを完全に理解できていないので、後日、本を読んでみたいと思っている。頂いた資料を添付した。