20190213(水)
朝日新聞・朝刊をそのまま転載させてもらう。
来年(2020)の東京オリンピックを前に、十代の高校生をはじめ、それぞれの人たちが勢熱を込めて、各スポーツに明け暮れている。
事務系建築系の人、ボランティア希望者、各種雑多な人たちが、手の込んだ準備に入っている。
五輪担当相の大臣だけは、国会内においてちぐはぐな発言が目立っているが、裏方ではきっと根を張った仕事をされているのでしょう。
その度に行われる国内や世界的な大会の模様を、新聞やテレビ、その他で知るだけで、私の心は狂喜し、悔しがったり、その心持の波動は治まらない。
そんな日常のなかで、池江璃花子(りかこ)選手が白血病と診断されたというニュースをテレビで知った。
私は、そんな難事を知ることなく、午後一番映画を観ていた。
帰宅間もなく、女房が「池江さんが白血病なんだって、このことを昼過ぎに聞いてしまってから、なんか!じっとしていられない」。
まるで狂ったような声だった。
その事を詳しく知るためにインターネットにしがみ付いて、実態を知ろうとした。
それなりに状況は解かったものの、私にできることは名もなき神仏に祈るだけ、回復を願うだけだった。
内容は把握したが、内容を知れば知るほど、池谷選手の踏ん張る力強さを知り、池谷選手そっちのけで申し訳ないが、彼女ならではの光り輝くもの、嬉しくなるものを与えてくれている。
感謝している。
彼女が元気にプールに戻ってくるまでは、私も私なりの頑張りをしなくちゃナランと思っている。
そして13日の夕刻から、いつもの私の仕事、朝日新聞をそのまま転載することだった。
★1面から。
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池江選手 白血病公表
「治療に専念 強くなった姿を」 競泳女子
池谷璃花子選手
ジャカルタ・アジア大会の競泳女子100メートルでバタフライで優勝し、スタンドに手を振る池谷璃花子選手=2018年8月
昨夏のジャカルタ・アジア大会で大会最多の6個の金メダルを獲得し、最優秀選手に選ばれた競泳女子の池江璃花子(りかこ)選手(18)=ルネサンス=が12日、自らのツイッターで白血病と診断されたと公表した。
その後会見した日本水泳連盟によると、東京都内の病院に入院中で、復帰の時期は未定。
病状の詳細や治療法については明かさなかった。
東京淑徳巣鴨高3年の池江選手は1月18日から豪州での強化合宿に参加していたが、体調不良をたびたび訴え、現地の病院で検査を受けた。
合宿を切り上げて8日に帰国して入院。
再検査した結果、白血病と診断されたという。
池江選手は、2020年東京五輪の有力なメダル候補。
ツイッターでは「さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう、頑張っていきたいと思います」とつづった。
会見した日本水連の上野広治副会長は「(東京五輪の出場権がかかった20年日本選手権に出られるかは)現状はわからない。(本人)はまずは病気を治すことに専念したいと言っている」と述べた。
担当する三木二郎コーチによると、池江選手はショックを受けていたものの「前向きな姿勢で白血病に必ず勝つんだという気持ちを見せている」と語った。
池江選手は高校1年で16年リオデジャネイロ五輪に初出場。
長水路(50メートルプール)では女子100メートルバタフライなど五つの個人種目で日本記録を持っている。
(照屋 健)
★池江選手 コメント全文
池谷璃花子
12日に自らのツイッターで白血病を公表した池江選手のコメントの全文は以下の通り。
応援してくださる皆様、関係者の皆様へご報告があります。
日頃から応援、ご支援を頂きありがとうございます。
この度、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、「白血病」という診断が出ました。
私自身、未だに信じられず、混乱している状況です。
ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります。
今後の予定としては、日本選手権の出場を断念せざるを得ません。
今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。
これからも温かく見守っていただけると嬉しいです。
(池江璃花子)
★19面から
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池江 豪州合宿中に異変 白血病を公表
昨年、ジャカルタで開催されたアジア大会の競泳女子100メートルバタフライで優勝した池谷璃花子。
大会では日本人選手で史上最多の6冠に輝いた
「今までみたことない、肩で呼吸」 コーチ
1月18日からの豪州での合宿中、異変を感じたのは三木コーチだった。
「今まで見たことのない、肩で呼吸するような場面があった。
休ませたら回復するかと思ったが、2月4日に現地の病院に連れていった」
検査の結果、早期の帰国を促がされた。
8日朝に羽田空港に着き、そのまま入院に。
その日のうちに白血病との診断を受けた。
付き添っていた上野副会長は「まさか、このような病名を言われるとは。
本人も相当ショックだったと思う」。
その一方で、「1時間もしないうちに本人から前向きな発言が出てきた。
病名を発表するのも彼女なりの決断だった。
病気に立ち向かおうという彼女の姿勢に本当に頭が下がる」と話した。
三木コーチも10日に本人に会った際の様子を明かし、「早く治して、また二郎さんと一緒に練習ができるよう頑張りたいと。
それに向けて自分もしっかり考えていきたい」と言葉を詰まらせた。
病状の詳細などについて、上野副会長は「お話しできる状況ではない」と語らなかった。
ただ、「水泳をしていたから異変に気づくことができた」とし、早期発見だったとの見方を示した。
7月の世界選手権(韓国・光州)の代表選考会を兼ねた4月の日本選手権は欠場する。
この世界選手権のリレー種目には東京五輪の出場権もかかっており、上野副会長は「池江抜きでのリレーは非常に厳しい」と漏らした。
今春から日大に進学する池江自身の競技への復帰時期も東京五輪出場への道筋も見通せない。
上野副会長は「厳しい道のりになると思うが、五輪選考会のスタート台に立てるよう見守ってほしい」と話した。
三木コーチは「この病気と闘っていくことで、また新たに池江璃花子という選手が強くなって戻ってくると信じている」と語った。
(竹田竜世 浅野有美)
克服し五輪「金」の選手も
練習拠点の米国で、池谷璃花子選手を励ます入江陵介選手(前列中央)と仲間たち=入江選手のツイッターから
これまでも、白血病と闘ってきた選手がいる。
サッカーJ2新潟のDF早川史哉(25)は2016年に「急性白血病」と診断されたが、手術やリハビリを経て今季、本格的に試合復帰を目指している。
自身の経験から「池江選手に温かい優しさをたくさん与えてほしい。
そういう思いが必ず力にある」という。
プロ野球では、オリックスなどで投手として活躍した岩下修一さん(45)は、プロ入り2年目の01年7月に「急性骨髄性白血病」と診断された。
抗がん剤治療を4カ月受け、翌年3月に公式戦での復活登板を果たした。
ラグビーの元豪州代表で、現在はトップリーグの豊田自動織機に所属するクリスチャン・リアリーファノ(31)は16年に白血病と診断された。
化学療法とと妹からの骨髄移植を受け、発症から約1年後に復帰している。
北米アイスホッケーリーグ(NHL)、ナッシュビル・プレデターズのブライアン・ボイル(34)も「慢性骨髄性白血病』を克服した。
北京五輪ではオープンウオータースイミングのマーテン・ファンデルバイデン(オランダ)が白血病を克服して金メダルを獲得。
白血病と同じ血液疾患になったプロスノーボーダーの荒井善政さん(39)は「これを乗り越えればもっと強くなれる。
あきらめないで欲しい」とエールを送った。
ライバルの「涙」
「ニュースを読んで涙があふれている」。
池江が最も得意とする100バタフライのリオデジャネイロ五輪金メダリスト、サラ・ショーストロム(スウェーデン)もインスタグラムに投稿した。
池江とは昨秋、合同練習した仲で、「私の全ての力と愛を送ります」とエールを送った。
20190213の読売新聞・朝刊 「編集手帳」
一首のなかに「いのち」という言葉が2回出てくる短歌がある。
〈桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命(いのち)をかけてわが眺めたり〉
岡本かの子が詠んだのは、散る気配もない生き生きと咲き誇る桜の姿だろう。
〈桜の花のいのちへの思いが分かるから、自分も精いっぱいの気持ちでながめるのだ〉と解釈されることが多い。
速報を聞いて胸が波打った。
すこしだけ落ち着きが戻ったとき、かの子の歌が浮んできた。
精いっぱいの気持ちでこれからを見守るとしよう。
競泳女子の池江璃花子さん(18)が白血病と診断されたという。
「いまだに信じられず混乱している状況です。治療に専念し、1日でも早くさらに強くなった姿を見せられるよう頑張っていきたい」と自らツィッターで明かした。
この「血液のがん」は昔に比べて、治る人がめざましく多くなった。
そのことを十分理解しているらしく、前向きさも伝わる。
この何年かで記録の壁をどんどんはねのけたように、病気にも打ち勝って欲しい。
快癒と五輪の金メダルはどちらの喜びが大きいか。
プールサイドでそんな質問ができる日を、みんなが待っている。
39面より
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池江選手「温かく見守って」
地元・ファン回復祈る
「緊急帰国し検査を受けた結果、『白血病』という診断が出ました。未だに信じられず、混乱している状況です」。
12日午後2時、池江選手がツイッターでこう発言した。
約2時間後、日本水泳連盟が都内で記者会見を開いた。
連盟幹部らによると、池江選手はは診断後もコーチに「早く治してまた一緒に練習できるように頑張りたい」と声をかけたという。
三木二郎コーチはあ「本人が一番ショックだと思う。東京五輪はまだゼロではない。色々な面でサポートしていく」と話した。
トップアスリートの突然の告白に、関係者には衝撃が広がった。
スポーツ庁の鈴木大地長官は「初めて聞いた時は言葉を失った」と沈痛な表情を浮かべた。
「彼女は日本チームのエース。健康になっていただくことが一番だと思う」と話した。
池江選手が所属するルネサンス亀戸(東京都江東区)の水泳教室に通う小学4年生の女児(10)は「なんでこうなっちゃったんだろうーー」と落ち込んだ様子で語った。
「早く病気を治して、また記録を更新し続けて」とエールを送った。
池江選手の母校、江戸川区立小岩四中の茅原直樹前校長(58)は「彼女は気持ちが強いので、自分の病気をしっかり伝えたんだと思う」。
昼休みに校庭で友人とサッカーをしたり、給食をおかわりしたりする姿をよく見かけたという。
「焦らずに、回復してから元気に戻ってきてほしい」と励ました。
同じ病と闘う人たちにも激励の輪が広がる。
俳優で、自らも白血病の闘病経験のある渡辺謙さん(59)は「今の医学を信じ、自分の生命力を信じ、前を向いて焦らずにしっかり治療に専念して下さい」とツィートした。
池江選手と同じ高校3年生で、白血病の治療を東京で受けたばかりの小林聖(せい)さん(17)は「周りの期待の声が心配」と話す。
昨年5月、男子バレーボールのインターハイ目前、関東大会の予選中に病気がわかった。10月に骨髄移植を受け、今は検査を受けながら回復を図っている段階だ。
気になるのは「東京五輪に間に合わせて」「一刻も早い復帰を」などの言葉。
「治療は精神的にもつらい。強くなった姿を見せられるよう頑張っていきたいとつづった上で、こう締めくくった。
「これからも温かく見守っていただけると嬉しいです」
◇
池江選手がめざす2020年東京五輪の競泳代表はどのように決まるのか。
日本水泳連盟は、五輪への選手派遣について「世界で戦える選手を送り込む」という姿勢をとっている。
主要国際大会での優勝者のタイムなどを参考に、独自に派遣標準記録を設定。
20年4月に行われる日本選手権(東京)で、この派遣標準記録を突破した選手のうち各種目の上位2人までが、東京五輪の出場権を得ることになっている。
唯一の例外が、今年7月の世界選手権(韓国・光州)。
この大会で優勝した選手を、日本水連は五輪代表に内定させる方針だ。
世界選手権(東京)で派遣標準記録を破った上で、各種目の上位2人までに入る必要がある。
池江選手は、ツイッター上で日本選手権への出場見送りを明言しており、今年の世界選手権には出られない。
早期発見「治療成績いい傾向」
白血病
白血病は血液のがんだ。
「一部を除き原因は不明だが、血液細胞のうちリンパ球など白血球ががん化する。
国立がん研究センターが、若年世代の患者データの分析結果から推計すると、15~19歳のがんのうち最も多いのが白血病(同世代のがんの約4分の1)だった。
がん化した白血球の種類により「リンパ性」と「骨髄性」があり、それぞれ病状が進行するスピードにより「急性」と「慢性」がある。
さらに原因となる遺伝子や染色体の異常により細かく種類が分かれる。
日本水泳連盟の会見では、池江選手の白血病の種類は明らかになっていない。
大半の白血病ではまず複数の抗がん剤を組み合わせた大量化学療法を行う。
種類や病状によってはその後、骨髄移植を行うこともある。
日本血液学会理事長の赤司浩一・九州大学教授は、「治るまでの治療期間は、白血病の種類により半年~2年程度と異なる。
一般的に体力のある若い世代ほど治癒率が高い」と語る。
また、水連は「早期発見ができたと(医師から)説明を受けている」とした。
赤司教授は「多くの場合、早期でがん細胞が少ない方が治療成績がいい傾向がある」と話す。
「今の素直な気持ち」
池江選手 ツイッターを更新
昨日から沢山のメッセージありがとうございます。
ニュースでも流れる自分の姿に、まだ少し不思議な気持ちにもなります。
そんな中で皆さんにどうしてもお伝えしたく、更新させていただきます。
皆様からの励ましのメッセージの中に「骨髄バンクの登録をした」「輸血、献血をした」など、沢山の方からメッセージをいただきました。
私だけではなく、同じように辛い思いをしている方達にも、本当に希望を持たせて頂いています。
私は、神さまは乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています。
もちろん、私にとって競泳人生は大切なものです。
ですが今は、完治をめざし、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦っていきたいと思います。
しばらくの間、皆様に元気な姿をお見せすることができないかもしれません。
そしてしばらくの間、私も皆様と同じく応援側に回ります。
引き続き、トビウオジャパンの応援、支援、そして沢山の様々なスポーツの応援、支援を宜しくお願い致します。
改めて皆様のメッセージとご協力に心から感謝します。
必ず戻ってきます。
(池江璃花子)