2012年3月13日火曜日

なでしこ アルガルベ杯準V

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20120309朝日新聞

(ドイツとの決勝戦の後半、同点ゴールを決め喜ぶ田中(右から2人目)=AP)

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(エスタデイオ・アルガルベ)

 

アルガルベカップとは、ポルトガル南部のアルガルベ地方で、毎年開催されるナショナルチームで競う女子サッカーの国際大会。このような大会があることを、今大会で初めて知った。格としては、オリンピック、FIFA女子W杯に次ぐビッグな大会だ。

サッカーの日本の女子代表=なでしこジャパンは、惜しくも優勝を逃した。昨夏のドイツW杯に次いでの栄冠かな、と期待したのだがそれは叶わなかったが、確実に実力をつけている。

 

B組 日本1ー0米国、1位通過。 FIFAランク3位のなでしこジャパンが、1位宿敵・米国に初めて90分以内で勝って決勝進出を果たした。後半38分にFW高瀬愛実(21)=INAC神戸=が、MF宮間あや(27)=(岡山湯郷)=のCKをヘデイングで、ゴール右隅に決めた。

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FW高瀬愛実(21)

 

昨年7月のドイツW杯以来の戦いだった。W杯では2-2の引き分けで、PK戦で勝ったものの、内容は完敗だった。シュート数は14対27、何度も決定的な苦境に立たされた。ところが、今回は試合運びは互角で、きちんと得点をゲットしての勝利だ。苦手意識は薄まるだろう。これで、アメリカとの対戦成績は、PK戦は勝敗には数えないので、1勝21敗4分だ。

そして、A組1位のドイツと決勝戦になった。ドイツには、五輪出場の予選も兼ねた昨年のドイツW杯では準々決勝で延長戦の末に1-0で勝っている。ドイツにとって、日本は憎(に)っくき相手でここで晴らさないと、気がすまない。そんな気迫が込められていた。試合は一進一退、点の取り合いになって、日本は3-4で競り負けた。これで対戦成績は、1勝8敗1分。

私がこの大会を振り返ってみて、何よりも嬉しいのは、なでしこジャパンが確実に力をつけていること、それに日本代表の主将を務めた宮間あやが、最優秀選手に選ばれたことだ。これは、格別に嬉しい。

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いつかの朝日新聞

(ドイツの決勝戦で、激しくボールを奪い合うMF宮間あや(27)=ロイター)

 

結果は準優勝に終わった。試合内容やチームのことについては、朝日新聞と日経新聞の記事がうまく分析されていたので、その記事を転載させてもらった。参照にしよう。

 

先ずは、20120309朝日新聞、記者・清水寿之氏の記事から。

なでしこ流 世界潮流

パスで揺さぶり体力奪う

惜しくも優勝を逃した日本代表(なでしこジャパン)だが、パスの精度や動き出しの速さなど完成度の高さが世界の目を引き付けた。昨夏のワールドカップ(W杯)ドイツ大会を制したパス主体のサッカーを米国やデンマークも採用するなど、「なでしこスタイル」が世界の潮流であることが今大会ではっきりした。

決勝直後の表彰式。日本のMF宮間(岡山湯郷)が最優秀選手に選ばれた。今大会は無得点。だが、代表21人の中で1人だけ全4試合に先発し、豊富な運動量と長短強弱を使い分けたパスでチームを支えた。会場を包み込んだ大きな拍手が、選出に誰も異論がないことの証しだった。

W杯の頃と比べても、相手ゴールへ向かう縦のパスの本数が増え、精度も向上。相手の意識がパスに向くと、虚を突いてドリブルを仕掛ける。W杯では90分間無得点が2試合あったが、今大会は0。攻撃力は確実にアップした。佐々木監督は「ボールを動かすことで相手にスキができることが、改めて分かったと思う」と手応えを口にする。

開幕前のなでしこリーグ所属の選手が21人中16人。まだ体調がピークでない中、決勝ではシーズン真っ最中のドイツ相手に互角の戦いをみせた。「パスで揺さぶる相手を走らせて体力を奪う。そんな省エネサッカーが目標」と日本協会の上田女子委員長。ドイツのナイト監督は「日本はいい道を進んでいる」。次の舞台は真夏のロンドン。目指す方向にぶれない。

 

いつかの日経新聞、記者・岸名章友氏の記事より。

なでしこに経験と自信

【ファロ(ポルトガル)=岸名章友】

女子サッカーの国際大会アルガルベカップの決勝で、日本代表「なでしこジャパン」は世界ランク2位のドイツに3-4で惜敗した。初優勝は逃したものの、経験と自信を積んで実りある大会になった。

目先の結果より内容を求め、「練習と実験」と位置付けた4試合だった。世界ランク1、2位の米国、ドイツとロンドン五輪前に腕試しできた意義は大きく、米国戦は勝利までついてきた。

「守備で難しいことが多くて、頭で考え過ぎて(攻撃に転じたとき)体が動かないときも」。なでしこの戦術を勉強中の木龍(日テレ)や京川(宮城・常盤木学園高)らがさえない表情で話す。日本の守備の約束事がそれだけ緻密、難解、高度なのだ。

FWからDFまでの全員で、危険を招く場所にボールを出させない。隊形を小さくしてプレスをきかせる。この予防的守備が、パワーとスピードの米国にある程度通じたのが最大の収穫だろう。

日本の躍進に追いつこうと、各国とも「間違いなくサッカーの質と完成度が上がった」と佐々木監督。単純にボールを蹴る、走るだけではなく、ボール回しや戦術を工夫している。大型選手ぞろいのノルウェーが引いてブロックを固め、スペースを与えないことで日本の良さを消した。日本もパスの速さや質をもう一段高めて対抗しないと、五輪で足をすくわれる。

ただ、日本が最も嫌なのは米国のように、パワーとスピードの正攻法で迫られること。「相手が勢いで押し込んできたときの対応がまだウィーク。守備から(攻撃への)起点をつくるところがおろそか」と佐々木監督はいう。攻撃の圧力を受けても、かわしながらいつものパス回しができるよう耐性がほしい。

準レギュラーの田中明日菜(INACが神戸)が世界で通用する器であることを示すなど代表の底上げに成果はあった。ただ佐々木監督は「僕のなかでは今大会のMVPじはFW長里(ポツダム)。攻撃のカードの枚数は増えたが、ここ一番で使いたくなるのは現状ではマダレギュラー組か。新たな切り札の台頭を待ちたい。