20120326の天声人語で、うひゃ~、ぐうっぐぅぐ、大いに「わら」わせていただいた。
今回の「わらう」ってことに、どんな字をあてればいいのか、思い当たらない。毎度お馴染みの笑いではなさそうだぞ。私を「嗤(わら)っている」記事であることには間違いない。「哂(わら)う」、これでもなさそうだ。思いがけず動転、自嘲、赤面しつつ苦笑、そんな笑いに近い。
後で、他の「わらう」も調べなくちゃ、イカンなあ。こんなに笑わせてもらっていいのか。まさか、俺のことを、何でもかんでも調査済みで、俺にターゲットを絞って、笑わせてくれているようで、変な気持ち! ふと、後ろに人の気配を感じて、振り返ったが、誰も居なかった。居るのは、ふて寝の排泄機能障害の猫だけ。
正直に言おう、今回の天声人語を読んで、慌(あわ)を食ったのだ。
これは、天声人語から私への「春の贈り物」なんだ、と拝読させてもらった。文章に使われている一字一句に、胸騒ぎするのだ。私も、春の季節に入ったようだ。
早速、この天声人語もマイポケットに仕舞いこんだ。
先週の朝日俳壇に、顔がほころんだ。〈我が猫の恋の相手に落胆す〉 寺杣(てらそま)啓子。稲畑汀子さんの選者評は「飼い主の落胆を誘う相手の猫やいかに」と、読者の興味を代弁していた。人の目には不細工でも、猫なりの審美眼があるのだろう。
その好みといい、知恵と言い生き物の営みは私たちの想像を絶する。小さな虫たちにさえ、歓喜や傷心があるかもしれない。「ふられたハエもやけ酒?」の記事に、あらぬことを考えた。
米国の研究チームによると、交尾する気のないメスに無視されたオスは、アルコール入りの餌を好んで食べたという。交尾できたオスに比べて、満足した時に脳内で増す神経伝達物資の量が少なく、欲求不満を「酒」で埋めていたらしい。
われら哺乳類の脳にも同様の物質があり、研究はアルコール依存の解明に役立つと思われる。むろん人の場合、やけ酒の「効用」に期待できない。悩みの元は消えず、しばし忘れるだけである。
一時の酔いが頭から追い払った「嫌な記憶」は、より重くなって心の底に刻まれる。そんなネズミの実験結果を、小欄で紹介したことがある。やけ酒はストレス解消どころか逆効果、どうかご用心を。
冒頭の猫の恋は、早春の季語として知られる。寒が緩み、浮かれ猫が鳴き募る頃になると、左党は花見が待ち遠しい。桜を愛でる一献は、思えば、やけ酒の対極にある風流。時節柄というのではなく、浮れ過ぎず、沈み過ぎず、きれいに飲みたいものだ。これが難しい。