20120703 サッカー欧州選手権の決勝戦が未明に行われた。今回はポーランドとウクライナの共同開催だった。決勝戦の会場はウクライナのキエフ。
私は、テレビの番組表が01:30からになっていたので、見逃すわけにはいくまいと、22:00に01:30起床のアラームをセットして布団に入った。
ところが、01:30に起きたが、キックオフは03:30だった。それまでの間、テレビではリーグ戦から決勝戦までの話題で、キックオフまでの時間を盛り上げていたが、睡眠不足の私には、ただの喧騒、ただ姦(かしま)しいばかり。スポーツは厳格な戦い、腰を据えて観るもんだ。
結果、スペインとイタリアの決勝戦は、圧倒的な強さでスペインがイタリアに4-0で、優勝、連覇した。この連覇の間に、2010の南アフリカW杯で優勝している。イタリアとドイツの準決勝戦を観ていたので、イタリアがどれくらい頑張れるのか、興味を持っていたが、あっけなかった。
スペインの先取点と2点目のゴールは、それからの2点もそうだけれど、もの凄く早く強く、華麗で美しく、無駄のない機能美を見せてくれた。イタリア自慢のカテナチオは面目なく、スペインには刃が立たなかった。
その戦いの内容を、20120703の日経・朝刊・スポーツに載った吉田誠一氏の記事を引用させてもらってマイファイルにした。
追記
話は変わるが、今回の決勝戦で初めて知ったのだが、両チームがスタジアムに入場する際、彼らを先導した青いフラッグには、「RESPECT DIVERSITY」(リスペクト ダイバーシティー)と書かれていた。他者の多様性を尊重しよう、ということらしい。
人種、性別、宗教、言語、あらゆる違いをポジティブにとらえて「違うから排除する」のではなく、「違いこそが新しい何かを生む」と考える。サッカーがまさにそういう競技で、戦う相手もチームメイトも自分と違うから楽しいと思う、と日本サッカー協会特任理事の野田朱美氏は、同日の同紙で述べていた。このように仕組まなければならない現実があるのだろう。好ましい試みだ。
対ドイツ戦の準決勝で、イタリアのガーナ出身のバロテリ(21)選手は2点をゴールした。感動的なゴールだった。彼は大会前、人種的なヤジや中傷があったら、「俺は絶対受け入れないよ。そんなことがあったら、直ぐにピッチを去って家に帰るよ」。過去に忌まわしい経験があったからだろう。2点目をゴールした直後、ユニフォームを脱いで、硬い表情で何をか言わんとばかりに、視線は厳しく頬は固く口は閉じたままだった。悪童は観客に鍛えられ、スーパースターを目指す。ますます賢くなっていく。スポーツは人を育て、文化を育(はぐく)む。
準決勝では、4チームのキャプテンがマイクを手に、人種差別はやめようと呼びかけた。
それに、閉会式でのこと、試合を仕切った審判団は、チームや選手たちの前に運営側から一人ひとりにメダルを首にかけてもらって、労(ねぎら)いを受けた。このようなことは、かってテニスの何処かのメジャー大会をテレビ観戦した時に、表彰式の前に、ボール拾いの人たちと審判団に、感謝の意を表するための式次第が組まれていた。これも気持ちが好かった。
戦いはチームや選手だけではない。表裏での大勢の関係者が汗して支え、ピッチでは審判団が掌(つかさど)り、観客、ファンが固唾を呑んで応援する。
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フエリベ王子から祝福を受けるイニエスタ
サッカー欧州選手権 スペイン連覇
布陣に縛らえず
必要な時、必要な位置に
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これだけのことを成し遂げるチームが後に現れるだろうか。スペインが史上初となる欧州選手権の連覇と、2010年ワールドカップ(W杯)と合わせた3連続制覇を達成した。
「僕たちはずっと歴史を変えるために戦ってきた」とMFイニエスタは話す。単に結果を残しただけでなく、極上のサッカーを示して王座を守ったことに意義がある。
めまぐるしくポジションを変えながらのパス交換とともに、今回はストライカーを置かない布陣が話題になった。「なぜ」の問にデルボスケ監督は「ゴールを狙う位置に誰かがずっといる必要はない」と応じる。
持ち場を決めず、必要な時に必要な所に誰かが入ればいいというのがスペインのサッカーであり、得点という作業についても例外としない。誰かがゴールする状況を共同作業で作り出す。
特異なのは布陣ではなく、その思想の方だろう。「僕たちはユニークであり、マジカルであり、再現できない何かを持っている」とイニエスタはいう。すべての選手がいるべき所に身を置こうとして動き続ける。もちろん、それは相手の急所に当たる。だから、次々と挑戦者が倒れていく。