サッカー欧州選手権は、スペインが史上初の2連覇で3度目の優勝をした。大会連覇と2010のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会を合わせたメジャー大会3連続優勝は史上初の快挙だ。
最優秀選手にはスペインのイニエスタ、得点王は3得点で6人が並んだが、プレー時間の短さなどが考慮され、スペインのフエルナンドトレスが選ばれた。
次回は2016にフランスで、本大会は16チームだったが、24チームで行われることになっている。
イタリアには不運もあったが、それにしてもスペインは強かった。私が今まで見たサッカーの中で一番、ファンタスチック?だった。この試合を深く記憶に留めたい、と思って朝日と日経の両紙の記事をそのまま、マイファイルする。
20120703 朝日・朝刊 シュートを放つスペインのシャビ(左)=ロイター
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29120703
朝日・朝日
内海亮
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不運なイタリア
イタリアはアクシデント続きだった。前半21分にDFキエリーニが負傷交代。後半12分に3人目の交代で入ったMFモッタが数分後に負傷でピッチを去った。プランデッリ監督は「10人になったところで試合が終わってしまった」。途中出場のFWディナターレが後半そうそうに2度めの決定機を外したのも痛かった。
前半は相手と同じ8本のシュートを放ち、積極的に打って出た。10年W杯の惨敗を機に攻撃スタイルへの転換を掲げた今大会。堅守が伝統の国の4失点は挑戦への代償でもあり、潔かった。指揮官は「攻撃的なサッカーができるところも見せられた。誇りを持って去りたい」と語った。
「攻撃は最大の防御」体現
170センチのシャビが歓喜の輪に埋もれ、笑っていた。本来の切れ味を欠いていた司令塔が、最後に2アシストで全4得点に絡み、本領を発揮。黄金期のスペインの強さを印象づけた。
先発はFWの選手を置かずにMF6人を配した「ゼロトップ」。技術に優れる小柄な選手をそろえてパスサッカーにこだわった。互いに6試合目だが、疲弊気味のイタリアに比べ、スペインは生き生きと動く。球を支配しても決定力がないという批判を一蹴する。4点。「攻撃は最大の防御」の哲学を、大会を通じて1失点の結果で体現した。
先発5人はシャビ、イニエスタ、セスクらバルセロナ勢。バルセロナのあるカタルーニャ地方は自治独立の機運が一部にあり、代表への反発が今も残る。「マドリードに対する対抗意識は強く、逆はそうでもない。レアル・マドリードのラウルやグティが活躍した時代と違い、今の代表がうまくいく一つの理由」とあるスペイン記者は語る。
これまでに欧州選手権、W杯と続けて勝ったのは72、74年の西ドイツ、08、10年のフランスだけだ。スペインは4年にわたってトップに君臨し、両大会を通して初の3連覇。それがいかに難しいかは、過去の歴史が実証する。
「サッカーを知る選手たちが歴史的な成功を遂げたが、まだ続きがある。偉大なスペインサッカーの時代だ」とテルボスケ監督。世界に向けて高らかに宣言した。
20120702 日経・朝刊 優勝を決め、喜ぶスペインの選手=UPI共同
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20120702
日経・朝刊
吉田誠一
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貫禄スペイン∨2
イタリアに4-0
高速パス回しで圧倒
楽しさの裏に凶暴なまでの力が潜んでいる。世界王者が示したその美しさの前にイタリアは崩れ落ちた。
「試合を支配した選手たちを誇りに思う」とスペインのデルボスケ監督は話す。準決勝と比べると、人とボールが動く速度が格段に上がった。その動きは基本に基いている。パスを味方に預けたら、動く。その限りない連続で、最終的にはDFの裏をとる。
右外を走ったセスクをイニエスタが生かし、シルバが先制。シャビにボールを預けたアルバが猛然と走り、リターンをもらってゴールした。
この日もストライカーを先発起用せず、1トップの位置にはMFセスクを置いた。それでも何の問題はないのだ。デルボスケ監督がいう。「サッカーの形は一つではない。重要なのは得点すること。選手たちは点の取り方を知っている」。
狭いスペースに次々とパスを入れて守備をゆがませ、パスの角度を変えて意表を突く。交代枠を使い切った後の62分にモッタが故障退場し、イタリアが10人になってからは勝負としての面白みは半減したが、やはりこの華麗なサッカーは世界のファンへの豪華な贈り物だ。
4年前のこの大会と2年前のW杯を制したというのに、野望は少しも衰えない。「我々は常に未来に向かう」とデルボスケ監督はいう。自分たちが最もモダンなサッカーの体現者だという自負があるから、歩みが止まらない。